図書館から「夏休み推薦図書2006」
  update 2006/07/25  男子部・女子部

夏休みがいよいよやってきます。みなさんはどのような計画をたてていますか?「ぜひ女子部・男子部の生徒にいろいろな良い本に出会ってほしい」と先生方や上級生に本を紹介してもらいました。遠くまで旅行に出る人や地方に帰る人の、旅の友に。そして想像の旅の友に長い休み期間に、ふだん手に取らない本にも 挑戦してみてください。 

※掲載されている価格は、税込み参考価格です。


夏休みの開館日について
7月15日(土) 終業式 9:00〜17:00
7月は月曜日から金曜日の 9:00〜17:00 に開館します。
8月は原則として月曜日と木曜日の 9:00〜17:00 に開館します。
夏休みの貸し出しをしています。返却日は9月4日です。

推薦図書


国語の先生 推薦(男子部) その1
この夏は、熱い生き方をした男の物語を読んでみませんか。運命と戦う男たち。名作ぞろいです。古本屋に行かないと売ってない本もあげてみました。図書館、本屋、古本屋にこの夏ぜひ通って探して下さい。
『強力伝(ごうりきでん)』 新田次郎(にったじろう)著 新潮文庫ほか 460円〜
まだヘリコプターのない時代、重い荷物を小屋までしょって山に上がる「強力」という職業の男がいた。ある時、巨大な石を持って山に上がる仕事をたのまれる・・・
『八甲田山 死の彷徨(はっこうださん 死のほうこう)』 新田次郎著 新潮文庫ほか 540〜
男子部なら必ず読む一冊。厳寒の八甲田山で、次々倒れていく部下。悪化する天候。 ひとつの決断、責任、装備の差が人間の生死を分ける。実話をもとに書かれている。
『漂流(ひょうりゅう)』  吉村昭 著 新潮文庫ほか 620円〜
昔、船が太平洋を漂流し、絶海の孤島へ流れ着いた男。十数年を耐え抜き、孤島からの脱出を試みる・・・実話をもとに書かれている。
『海嶺(かいれい)』   三浦綾子 著 角川文庫ほか 567円〜
昔、船が太平洋を漂流し、アメリカ大陸に流れ着いた男たち。彼らは、そこでキリスト教に出会う。彼らの帰国はそれゆえ、大変な困難が・・・
『エンデュアランス号漂流』 アルフレッド・ランシング著 新潮文庫 820円
アムンゼン、スコットが南極へ向かった時代、シャクルトンという男の船が南極で遭難する。しかし、船の名前エンデュアランス(不屈、絶対にあきらめない)のとおり、彼は乗員全員で帰還をめざすが・・・実話をもとに書かれている。
『空白の天気図』   柳田邦男 新潮文庫ほか 660円〜
 原爆が落ちた直後の広島の町を、観測史上に残る台風が襲う。報道管制が引かれていた当時、気象をあずかる男たちの必死の活動を描く。実話をもとに書かれている。


国語の先生 推薦(男子部) その2
暑い夏に、ぞっとする話から。3篇とも数ページの短編です。
『文鳥・夢十夜』 夏目漱石 著 新潮文庫 
「夢十夜 第三夜」(明治41年)
田んぼ道を、六つになる子を負ぶって歩いている。子供はいつの間にか目が潰れている。自分は心の中で、こんなものは捨ててしまおうと思い、闇の中の森を目指している。背中の子供は妙に大人びており、すべてを見透かしている。「おとっさん、重いかい」「重かあない」「今に重くなるよ」・・・「もう少し行くと解る。丁度こんな晩だったな」「何が」「何がって、知ってるじゃないか」。そう言われると知ってるような気がする。しかしそれが解らないうちに早く捨ててしまわなくてはいけない。「此処だ此処だ、丁度その杉の根の処だったね」「うん、そうだ」「御前がおれを殺したのは今から丁度百年前だね」・・・背中の子が急に石地蔵のように重くなった。 こんな夢を見た、という設定で表された十篇の小編。漱石の無意識が表現されているとも言われている。「第三夜」には、ゾクッとするような怖さがある。
『清兵衛と瓢箪・網走まで』 志賀直哉著 新潮文庫
「剃刀(かみそり)」(明治43年)
床屋の親方芳三郎は、剃刀にかけては名人級の腕前と完璧主義者としての誇りを持っていた。ある日、体調の悪い中、無理を押して店に立つが、剃刀も思うように研ぐことができず、苛立ちは募るばかり。そんな時、閉店間際に折悪しく、一人の若者が飛び込んできた。「ザットでよござんすが、一つ大急ぎで・・・」と。なんとか剃刀を当てはじめる芳三郎だが、思うように切れない剃刀と疲労によって苛立ちはピークに達し、その喉に・・・。この短編を読んで以来、床屋に行って喉元に剃刀を当てられると、必ず、この恐ろしいラストシーンを思い浮かべてしまう。
『毒もみの好きな署長さん』 宮沢賢治 著
これは寒くなるというより、変な話。
今でこそ賢治は高く評価されているが、生前はほとんど日の目を見ることがなかった。それは賢治の作品が「童話」という形をとりながら、一切子供に媚びることなく、いわゆる「教育的」でもなかったからかもしれない。まったくお構いなしに、自由に、風や木々や雲から聞いた「ほんとう」の話を書いている。賢治の童話には、しばしば「不気味な」登場人物が実に魅力的に描かれているが、彼らは勧善懲悪の調和的な世界、あるいは世間的常識的な価値基準から逸脱してしまっていることが多い。この短編に登場する署長さんも、自分の好きなことにまっすぐで、善悪という枠組みからはずれてしまった「悪党」なのだ。ここに賢治の人間観の豊かさ、おおらかさが感じられる。賢治自身がそういう一面を持っていたのだろうと思う。ラストの「いよいよこんどは、地獄で毒もみをやるかな」という言葉には、すがすがしさも感じられる。この話に限ったことではないが、賢治がなぜこんなストーリーを発想することができたのか、まったく驚きというほかはない。
じっくり読みたい長編問題作
『蝿の王』 ゴールディング著 新潮文庫ほか
第3次世界大戦の最中に、少年達を乗せ、疎開に向かう飛行機が墜落し、ある島に不時着する。そこで少年たちがどのような生活を送ることになるか。彼らは自ら自己を律し、規律に従い共同生活をしていく能力を身につけてきておらず、そのため、次第に動物的で刹那的な「悪」の衝動、理性に逆行しようとする衝動によって支配され始める。彼らは闇に潜む「獣」に脅えるが、それは彼ら自身の中に潜む内なる「獣」の投影であった。彼らは15少年漂流記のように、力を合わせて困難を乗り越えていくことができず、やがて悲劇に向かって突き進んでいく・・・。「蝿の王」とは、悪魔ベルゼブルのことを指すが、作品中では蝿が群がる豚の生首を子供たちが「蝿の王」と呼んでいる。冬に寒い部屋で読んだこともあって、読みながら歯がガチガチと震え、恐ろしさが倍増したことを覚えている。そして読みながら、自由学園の教育の重要性をあらためて強く感じていた。映画にもなったので見たが、まったくの駄作だった。高等科、学部の人に勧めたい。ゴールディングはこの作品で、1983年ノーベル文学賞を受賞した。

国語の先生 推薦(女子部) その1
@『狐笛(コテキ)のかなた』上橋菜穂子著 理論社2003 1575円
ひとの思いが聞こえる「聞き耳」の才を持つ少女と、使い魔として生きる霊孤、森陰屋敷に閉じ込められた少年の物語。美しい日本語で、静かに、力を秘めて語られてゆくこの物語は、不思議ななつかしさを与えてくれる。主人公の純真さ、心の有り様が魅力的。同じ作者のシリーズもののファンタジーもおすすめです。

<守り人シリーズ>
A『精霊の守り人』
B『闇の守り人』
C『夢の守り人』
D『神の守り人−来訪編』『神の守り人−帰還編』
<旅人シリーズ>
E『虚空の旅人』
F『蒼路の旅人』

*『精霊の守り人』は来春、NHKアニメーションでの放送が決まっている作品です。このシリーズは本当に面白いので、映像化される前にぜひ一度、本で読み、感動を味わってほしいと強く願っています。
*なお、今秋には『天と地の守り人』が新刊として出る予定です。
G『ケルトの白馬』ローズマリー・サトクリフ著 灰島かり訳 ほるぷ出版 1470円
上橋氏が尊敬するイギリスの作家、サトクリフの作品です。この話は、ケルト神話をもとに書かれた作品です。
H『谷川俊太郎詩選集1〜3』 集英社文庫 520〜
I 『詩ってなんだろう』 谷川俊太郎作 筑摩書房 1365円

昨年度、谷川氏が女子部で授業をしてくださった折、いい詩が沢山あるので、ぜひ味わいたいと実感しました。Hは文庫なので、手にとっていつでもどこでも読めます。他にも絵本やカラフルな装丁の詩集が数多く出ています。Iは谷川氏ご自身が薦めてくださった一冊です。
J『見えない配達夫』 茨木のり子詩集 童話屋  2100円
K『倚りかからず』 茨木のり子作  筑摩書房 1890円

今年2月に亡くなられた茨木のり子氏は、戦後の女性詩人として活躍し、「現代詩の長女」と呼ばれています。彼女の詩は、女性の視点で現実と向き合い、まっすぐ生きようとする中に明るさが感じられます。一度は手にとってみてほしい詩集です。


国語の先生 推薦(女子部) その2
『舞踏会・蜜柑』 芥川龍之介著 角川文庫ほか 483円
芥川の作品はどれも素晴らしいですが、個人的には特に『蜜柑』が好きです。というのも私自身が中学生の時、国語のテストで出たのですが、問題解くのをそっちのけで何度も何度も読み返していました。素朴で単純ですが、精一杯の思いやりを込めた蜜柑。読みやすくてとてもいい話だと思います。

『スローカーブをもう一球』山際淳司著 角川文庫 483円
題名の通り、スポーツに関するノンフィクションの短編集です。しかし内容はそれにとどまらず、何かに打ち込んだ人間の生き様をとてもリアルに描いているので、スポーツをするしないに関わらず、多くの人に読んでもらいたい一冊です。おすすめは「たった一人のオリンピック」です。
『祖国とは国語』藤原正彦著 新潮社 新潮文庫 420円
同氏の『国家の品格』がベストセラーとなって話題を呼びましたが、この本と内容が重複しており、こちらのほうがより分かり易いと思います。なぜ国語を学ぶのか、国語とは単なる言語という意味以上のものがある、それらの事が良くわかると思います。私が漠然と考えていたことをよくまとめて表現してくれています。少々言い過ぎの感もありますが、おすすめの一冊です。興味が湧いたら併せて『国家の品格』も読んでみるといいかと思います。
『蛍川・泥の河』 宮本輝著 新潮社 新潮文庫 380円
美しい描写と細やかな心情とが印象的な『蛍川』です。皆さんくらいの年齢で読んでおくべき一冊でしょう。クライマックスの風景描写を頭の中でよくよくイメージさせてください。
『人間失格・桜桃』 太宰治著 角川書店 角川文庫 300円
『人間失格』は有名ですので、説明は不要かと思います。好き嫌いがあるので、万人にはおすすめしません。しかし太宰は「青春の文学」とも言われますが、特に『人間失格』は十代で読んでおいた方がよいでしょう。年をとってから読むと、もはや軽蔑か憤りしか覚えなくなってしまいます。 個人的には『桜桃』が好きです。人間の弱さ、そしてそれを隠そうとする時の道化がよく描かれています。


英語の先生 推薦(女子部)
『大人も知らない「本当の友だち」のつくり方』 松本啓子 著 かなしろにゃんこ絵 講談社 1260円
あるクラスメートが落ち込んだ様子で話しかけてきました。「また○○先輩に怒られちゃった。この仕事まだわからないところがあったから、教えてもらおうと思ったのに『自分で考えて』って。 私、嫌われてるんだ。頭悪いから。」みなさんだったらどんなふうに応えますか。
@「しっかりしなよ。」
A「そんなことで落ち込んでたら、また怒られるよ。」
B「そう言われたならしょうがない、自分で考えるべきじゃない?」
C「△△先輩のほうが優しいよ。今度は△△さんにきいてみなよ。」
D「まわりがやってるときに見てないからわからないんだよ。」
E「○○さんなんかにきくからよ。」
F「あなた、頭いいんだから慣れれば大丈夫。」
G「先輩に怒られたくらいで落ち込んでちゃだめじゃん。」
H「ちょうど忙しい時にきいちゃったからじゃないの?」
I「○○さんって口悪いよねー。でもなんとかなるって!がんばろー。」
J「えー、何のこときいたの?その仕事何度目だったの?」
K「思いっきり愚痴りなよ。すっきりするから。」
実は、これらすべては悩む相手が心を閉ざすきっかけになりかねない対応方法です。私たち人間はひとりひとり違った課題を抱え、悩み、困りながら生きています。(1つもそんなことがない、という人はなおさら困ったものです。)しかし、まるで降って湧いたかに思える困りごとも、私たちの心や魂が、神様の助けのもとに自分をきたえるチャンスとして向き合うことを選んだものばかりで、困っている本人以外は誰も代わりに解決することはできません。「本人」が解決力を発揮するには誰かがその気持ちに耳を傾け、しっかり受け止めることです。この本が紹介するリンダ・ゴードン博士の人間関係研究では、上のような応え方は耳を傾けるふりをして自分がしゃべってしまう “12の路上障害物(Roadblocks)”です。@は「命令・指示」Aは「脅迫・警告」…と無意識に使いがちな表現を詳細に見つめています。また、断りたいこと、やりたいこと、相手にやめてほしいことを誠実に伝えながら、自分も相手もよりわかりあうための方法も手ほどきされています。自由学園の生活はさまざまな人とのやりとり、共同作業の機会に満ちています。この本をみなさんの知恵袋に加えたら、かしこく、気持ちのよいやりとりが増えることと大いに期待しています。
・著者の松本啓子さんは、親業訓練シニアインストラクター・上級教育カウンセラーをなさっています。

英語の先生 推薦(女子部)
『Elementary Stories for Reproduction 1.2』 L.A.Hill著
Oxford University Press ISBN-10:0194325415,019580242X 924円〜

Oxford University Press ISBN-10:0194325415,019580242X 924円〜英語の小咄集で気軽に読めます。1より2の方がより読みやすいかもしれません。おすすめは、ワット氏とノット氏の会話。4つのシリーズがあり、“Introductory Stories”は中等科2年くらいから、“Elementary Stories”は中等科3年“Intermediate Stories”は高等科の人が読むのに良いかと思います。興味のある人は、最後の“Advanced Stories”まで ぜひどうぞ

英語の先生 推薦(学部)
『自由と規律』 池田潔著 岩波新書(1949年) 735円
男子部5年生が読書の時間によく読んでいたもの。イギリスのパブリックスクールで学んだ著者が、その教育の特徴をよく書いている。男子部の教育と似ている箇所もあり、考えさせられ、参考になる点が多い。男子部5年生、6年生にはぜひ読んでいただきたい。
『余の尊敬する人物』 『続 余の尊敬する人物』 矢内原忠雄 著、岩波新書  →全集等を図書館で探してみて下さい。
内村鑑三の弟子で、戦後東京大学の総長になった著者が戦時中、また戦後「エレミヤ、日蓮、リンカーン、新渡戸稲造」「イザヤ、パウロ、ルッター、クロムウェル、内村鑑三」を取り上げ、その生涯を簡潔に紹介し、信仰的生き方を示したもの。キリスト教信仰について考える良い題材を与えてくれる。
『絶望と希望―若人に語る』 高橋三郎著 キリスト教双書(教文館1970) 683円
矢内原忠雄の弟子で、独立伝道者の著者が、学生相手に講演したもので、青春について、仕事について、結婚について大切な考え方を伝えている。
『東大法学部』 水木楊 著 新潮新書(2005)714
学部講師で卒業生の著者が現代の教育制度を批判し、真のエリート教育とは何かを考えさせるもの。「あとがき」では自由学園の名をあげて著者の反骨精神のよって来るところを述べている。自由学園の教育に自信を与え、方向性を再確認させてくれるもの。学部生にはぜひ読んで欲しい。

数学の先生 推薦(男子部)
受験のためだけの暗記は、あまりおすすめしませんが、文化としての日本語の文章は、ぜひ、音読して、暗記して、何度も味わって、自分の財産としていってほしいと思います。そこで、お勧めなのが
『声に出して読みたい日本語』 齋藤孝著 草思社2001 1260円
どのページの文章からでもよいので、ぜひ、1つでも多く、暗誦してください。暗誦する意味について、ぜひ、次の2冊の本も読んでみてください。本屋で山積みになっている本です。著者は、御茶の水大学の数学者で、アメリカ、イギリスでも研究なさったことのある人です。英語、コンピュータ、数学の大切さを知り尽くしている著者が、「まずは国語が大切」と言っているところに、共感を覚えています。
『祖国とは国語』 藤原正彦著 新潮文庫 420円〜
『国家の品格』 藤原正彦著 新潮新書 714円〜

自由学園の霜柱の研究を高く評価してくださったのが、中谷宇吉郎先生、そして、その師が、寺田寅彦、そしてその先生が、夏目漱石です。夏休みに、これらの人たちの作品を続けて読んでみたらどうでしょうか。
『我輩は猫である』 夏目漱石著 
『坊ちゃん』 夏目漱石著 
『寺田実彦随筆集』 夏目漱石著 
『中谷宇吉郎』 夏目漱石著 

数学の先生 推薦(女子部)
『夏のロケット』 川端裕人著  文春文庫 670
高校時代にモデルロケットを作って飛ばした5人組が、卒業後、宇宙開発事業団の研究者、材料工学の専門家、記者、商社マン、人気歌手となり、それぞれの能力を生かして、再度本物の火星ロケットを打ち上げる夢を追う。物語はミサイル製造事件から始まり、個人ロケットの歴史や科学的データも散りばめられ、宇宙旅行への情熱が伝わってくる、夏休みにぴったりの本。
『ええじゃないか17歳のチャレンジ』 宗田 理著 角川書店2006.6  1575円
夏休み、郵便受けにお札が貼ってあったことから、幕末に豊橋から起こって全国に広がった「ええじゃないか運動」を広めようと、高校生たちが動き出す。高校の先輩を動かし、踊りを作り、花火、恐竜と話題作りをするが、そこに事件が起こる。若者のエネルギーがさわやかで気持ちよい。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』 米原万里著 角川文庫  580円
父親の仕事の都合で、プラハのソビエト学校に5年間通った著者が、30年ぶりにプラハへ行って、3人の旧友を捜し出し再会を果たす。そうすると子供のときには分からなかったことが改めていろいろ分かってくる。意外に楽しそうな共産圏の学校の様子、国同士の関係もよく分かり興味深い。大宅壮一ノンフィクション賞受賞
『ヒトのオスは飼わないの?』 米原万理著 文春文庫 650円
野良の犬や猫を次々と引き取ることになり、どんどん数が増えていっていろんな事件も起こるが、愛情深く乗り越えていく。我が家にも一匹老犬がいるが、一匹では分からない犬猫の習性がユーモアたっぷりに描かれている。思わず笑ってしまうエピソードがいっぱいの動物好きにはたまらない一冊。
         

社会科の先生 推薦(女子部・最高学部)
『しゃばけ』 畠中恵著 新潮文庫 540円
舞台は江戸の町、この小説の主人公、一太郎はちょっとかわった若旦那です。どこが変わっているかというととても体が弱い。それに加えて妖怪が見える(!)。そんな一太郎が一人でこっそり出かけた夜に人殺しを目撃!その後一太郎の周りに事件ばかり起きて…。かわいらしく憎めない妖怪達や人々の言動に心あたたまり、犯人探しの推理の部分ではドキドキと、とても面白い小説です。ちなみにこの小説は女性に人気で、ハードカバーでは第5作目が最近でました。読んで気に入った人はそちらも読んでみたらどうでしょう。日々の生活に疲れた人に…
『雨の日のネコはとことん眠い』加藤由子著PHP研究所 1100円 (絶版) ※ 図書館で探してみてください。
ペットは人の心を癒す効果があると言われています。そんなペットのなかでもネコは、古くから人々に愛されてきた動物です。そんなネコたちの行動と心理を、ユーモアあふれる文章で解き明かしてくれるのがこの本です。また、イラストのネコのしぐさもなかなかです。この本を読むと、道ばたのネコたちの行動の謎がとけること請け合い!
『縄文のくらしを掘る』 阿部芳郎著 岩波ジュニア新書419 819円
自由学園で学んでいる皆さんのなかには、縄文土器や矢じりを集めた経験のある方がいると思います。この本の著者も少年時代、畑で矢じりや縄文土器を拾う「考古ボーイ」でした。縄文土器や矢じりを集め始め、縄文時代の生活とはなんだろうと思ってからウン十年、著者は大学で考古学を教えるようになりました。この本では、そんな少年時代の体験をおりまぜながら、縄文時代のくらしを描いています。そして、この本の面白いところは、縄文時代のくらしをどうやって解明していくか、本を読みながら著者と一緒に謎解きをしていく感じがすることです。私には、著者がこの本を書きながら数十年の時を越え少年に戻っているんだろうな、自分が楽しかったからこんなにおもしろい本を書けたのだなと感じました。 縄文時代や歴史に興味のある方はぜひ読んでみてください。

家庭科の先生 推薦(女子部)
(普通科・高等科に)
『はじめてのカルトナージュ リネンで作る布箱雑貨』 駒澤由美子著 河出書房新社06 1470円
カルトナージュとは、Carton(厚紙)を箱や包装資材、フレーム、本のカバーなどに加工する技術・職業のことで、19世紀にヨーロッパ全体に広がった伝統工芸です。この本では基本的な布箱の作り方から、応用で携帯スタンド、フォトフレームなどの作り方がやさしく書かれています。布箱は入れたい物や引き出しのサイズに合わせて作れるので、整理整頓に便利です。麻布(リネン)でなくとも、裁縫の授業で作ったブラウスやワンピースの端布を利用してもかわいい物が出来ます。
(高等科に)
『形のよさが決め手 一年中のスカート(ミセス洋裁ノート2)』 文化出版局編 文化出版局1980(絶版)→図書館で探してみてください。
デザインが多少古く感じるとは思いますが、切り替え方やプリーツの入れ方など、自分でデザインを考えるときの参考になると思います。私たちが普段使っているパーセントカッティング法ではありませんが、基本の型紙がついていますし、製図の書き方も分かりやすく載っています。木綿で作れば布の始末も簡単ですから、ぜひ長い休みのなかで挑戦してみてください。

推薦図書

図書館から
『おはようからおやすみまでの科学』 佐倉統・古田ゆかり 著 ちくまプリマー新書038 筑摩書房 798
私達の生活は便利な機械や技術に囲まれている。冷蔵庫・電子レンジ・エアコン・携帯電話…などなど。自分の家の中を見回してみてください。技術の進歩でできた沢山の機械に取り囲まれていることに改めて気づくのではないでしょうか?そのような科学技術の進歩を便利というだけではなく、視点をかえて見ることで新しい発見もあることを教えてくれる本です。家の冷凍庫で冷凍したご飯と一粒づつがパラパラとしている冷凍食品のピラフの違いなどの台所の科学からエアコンの話などまさにリビング・サイエンスの本です。ちくまプリマー新書は中学生・高校生向きにわかりやすく書かれているので興味のある分野の本があったら手に取ってみてください。
フィクションから1冊
『きみの友だち』 重松清 著 新潮社 1,680円
前半はいろいろな人の友だち関係について書かれ、一見ばらばらのように思われる友だちのつながりが最後には…。人の暖かさを感じる1冊。自分の友だちについて考える機会となるかもしれません。

編集係から
今年は、アジアを題材に元気がでる本を紹介したいと思います。
(1)『家なき鳥』グロリア・ウィーラン著 白水社 1575円
(2)『シャバヌ 砂漠の風の娘』スザンネ・ステープルズ作 ポプラ社 1575円
(2)『シャバヌ ハベリの窓辺にて』S・ステープルズ作 ポプラ社 1680円
(3)『アフガニスタンの少女、日本に生きる』虎山ニルファ著 草思社 1680円
(4)『アフガニスタンの星を見上げて』フルグラ・コヒィ著 小学館(絶版)
(5)『彼女の夢みたアフガニスタン』山本敏晴写真・文 マガジンハウス 1365円
(6)『あなたのたいせつなものはなんですか?』 山本敏晴写真・文 小学館 1575円
(7)『モギ ちいさな焼きもの師』リンダ・スー・パーク著あすなろ書房1365円
(8)『モンシル姉さん』権正生著 てらいんく1714*1.05
(9)『あの夏の鳳仙花』崔淑烈著 めるくまーる1648円
(10)『中国のいまがわかる本』上村幸治著 岩波ジュニア新書530 780円
(11)『赤い大地 黄色い大河 社会と個人を考える 10代の文化大革命』 アンコー・チャン(張安戈)作 今人舎 1470円
(12)『流れる星は生きている』藤原てい著 中央公論社 1100円

まず、(1)はインドのコリーという少女の話です。前半は聞きなれない単語や、とても厳しい状況描写が続くのですが、ユーモアたっぷりの語りがとても魅力的。得意の刺繍で未来を切り開いていきます。(2)はパキスタン砂漠生まれのイスラム教徒の少女の話。この少女も厳しい現実をしっかり受け止めながら、前向きに生きていきます。同じアジアでも、想像もつかない生活や見たこともない風景を本を通して知ることも読書の楽しみのひとつかと思います。2巻に出てくる古都ラホールの城とシャーラマール庭園は世界遺産のひとつです。(3)は日本に帰化したアフガニスタンの少女:ニルファの体験記。祖国での体験もさることながら、日本での生活の中で感じていることや悩みは、ひょっとしたらあなたと同じかもしれません。本にも出てくる、ニルファの兄、フルグラの体験記(4)も学校にはあるので、興味のある人は読んでみてください。(5)と(6)は、アジアに興味はあるけれど、本を読むのは苦手という人に是非みてもらいたい 山本敏晴さんの写真集です。(7)は陶工になりたいという夢に向かって進むモギ少年の話。(8)厳しい状況にあっても最善を尽くそうとするモンシルの物語。 (9)は現在の北朝鮮に住んでいた少女の祖国脱出記。南北朝鮮の離散家族を考える時にも参考になると思います。3冊ともお隣の朝鮮半島を舞台にしたお話です。最後に(10)は実際にいま中国で何がおこっているか。を考えるにはとても良い本だと思います。Jはあなた方が生まれる前に実際に中国で起こった「文化大革命」を体験者である画家が書いた本です。文化大革命ではなくても、集団で生活していく中での社会と個人。現在でも同じようなことがおきうるのではないか?と考えさせられた本です。とても軽くて絵の多い本ですので。本が苦手なヒトもチャレンジしてみてください。(12)は『強力伝』新田次郎氏の奥様であり。『祖国とは国語』の藤原正彦氏の母上の藤原ていさんの大陸引揚げ記です。藤原ていさんが、無事に日本に引揚げできなかったら、お2人の作品は生まれなかったかも知れません。ぜひ読んでみてください。

最後に最近出版された本から
(13)『FLUSH』 カール・ハイアセン著  理論社  1449円
(14)『あの空の下で』  フランシスコ・ヒメネス著 小峰書店 1680円
(15)『ティーン☆アイドル』メグ・キャボット著 理論社  1449円
(16)『空色の地図』 梨屋アリエ著 金の星社 1365円
(17)『イサナと不知火のきみ』 たつみや章著 講談社  1680円
(18)『ハチミツドロップス』 草野たき著  講談社  1365円
(19)『レモンドロップス』 石井睦美著 講談社  1365円
(20)『ひな菊とペパーミント』 野中柊著 講談社 1365円

(13)は、『HOOT』を書いたハイアセンの新作。文句なしにおもしろい。
(14)は、『この道の向こうに』の続編でメキシコから移民した一家の物語。

働きながら懸命に勉強する主人公は、著者ヒメネスの物語でもある。移民の問題は、もはやアメリカやヨーロッパだけの問題だけではなくなってきているので、ぜひ読んでほしい。 (15)は『メディエータ』で人気作家になったキャボットの新作。(16)は梨屋アリエの新作。(17)たつみや章の待ちに待った2年ぶりの新作。今回の舞台は古代。九州熊本の不知火湾あたりです。(18)(19)(20)は、お菓子屋のようにかわいらしいタイトルで思わず並べてしまったが、内容もそれぞれちがう少女の話。ぜひ感想を教えてください。

(図書館)