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学園長のブログ

とてもうれしいお知らせです。
自由学園女子部生徒が毎日作っている昼食のレシピをまとめた本「自由学園 最高の『お食事』~95年間の伝統レシピ~」が刊行されます。女子部50回生、74回生の卒業生ボランティアチームの皆さんが、「愛する母校への恩返し」という思いで製作にあたってくださいました。

自由学園女子部では1921年の創立以来、生徒たちのお昼のご飯を生徒たち自身の手で作り、教師も生徒も一堂に会し、共に食卓を囲んで、温かい昼食をいただいています。現在は中1から高2まで5学年が日替わりで、家庭科の授業時間の範囲で週に2時間、このお食事作りを担当し、経験を重ねた高等科3年生は、クリスマスのお祝いなどのお食事作りを担当します。

薪でご飯を炊き、野菜を切ることから学び始める生徒たちは、高校を卒業するまでに魚料理やルーを使った料理、揚げ物など、一通りの料理を身につけます。調理から始まったこの実践に、畑での作物の栽培が加わり、「育てる」「調理する」「共に食卓を囲む」「片付ける」という、食の循環を体験する学びに発展しています。

 

2005年に施行された食育基本法には「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも『食』が重要である」「今こそ、家庭、学校、保育所、地域等を中心に、国民運動として、食育の推進に取り組んでいくことが、我々に課せられている課題である」とありますが、自由学園で「食」を教育の一つの柱とする取り組みを始めたのは、この食育基本法の80年以上も前のことです。

今年度私は、女子部高等科3年生の「学園の思想」の時間を担当しましたが、その中で「自由学園の特色ある『食と農』の実践を通じ、皆さんは何を学んできましたか」と問いかけました。そして皆で議論し、チームごとに考えをまとめ、プレゼンテーションをする、という課題を出しました。

あるチームは35項目の多岐にわたる要素をあげた上で、それらを「知る・学ぶ」「技術を身につける」「心を育む」の3つのグループに分類しました。これらはちょうど自由学園のモットーである「思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ」に重なるものでした。「食の循環」「物事の背景」といった知識や食にかかわる生活技術と共に、多くの人が「人としてのあり方」「状況判断と問題への対応力」「失敗からの調整力」「協力の大切さ」「いのちの大切さ」「よく生きること」といった、生きる姿勢について語りました。

自由学園では「生活即教育、実学、知行合一」といった言葉で、実践を通じて学ぶことを重視してきましたが、このお食事作りは、まさに100年前から行っている自由学園型アクティブラーニングの代表です。また最近「女子力」という言葉が話題になっていますが、自由学園の創立者は100年以上前に「良妻賢母主義を基とする女子教育の価値なきはもはや他言を費やすに及ばず」と、当時必須とされていた良妻賢母教育を批判し、「いったい男女を教育するにはこれを人として教育すべきが至当」と述べています。自由学園で育てたい力は男女を問わず自立して生きていくための、人生の土台となる「人間力」です。生徒たちがこれを実感していることはうれしいことでした。

このような「食の学び」の実践に、国内外の多くの方々が関心をお寄せくださり、今年度も多くの見学者の方をお迎えしました。つい先日も、「1000を超える日本と世界の学校給食の現場を調査してきた」という「食育アドバイザー」の方が、昼食の場で「自由学園は世界のトップを走っている」と評価してくださいました。
自由学園では学校で皆でいただく昼食を「給食」とは呼ばず、「お食事」といっています。これは「与えられる食事」を意味する「給食」ではなく、「大きな家庭としての学校」で、皆で作っていただくお食事だからです。このような意味で、「自由学園 最高の『お食事』」というタイトルはうれしいものでした。
掲載レシピは82品。この中には卒業生の方々にご協力いただいたアンケートによる人気メニュー、「シェパーズパイ」「チキンピラフのホワイトソースがけ」「希望満充」なども含まれています。数百人分の学校での材料と分量を、4人を基本とする家庭用に変えて紹介されています。

自由学園女子部の生徒たちが毎日作っている「お食事」、ぜひ多くの方に味わっていただければと思います。
発売は3月30日、全国の書店に並びます。Amazonでの予約も開始しています。
http://amzn.to/2lr0UaM

2017年2月24日 高橋和也(自由学園学園長)




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