第5回 『建築雑誌』10月号 「未来にココがあってほしいから」 /学園長ブログ - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

第5回 『建築雑誌』10月号 「未来にココがあってほしいから」 /学園長ブログ - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

学園長ブログ

第5回 『建築雑誌』10月号 「未来にココがあってほしいから」 

2016年10月21日

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「私はオーナーではなく、建築にも詳しくありませんがいいのでしょうか」との前置きで始まったインタビュー。
2時間近く、ずいぶんとりとめなく多方面に広がってしまった話に、「一体これで雑誌のニーズにお答えできたのでしょうか」と伺うと、ライターのいしまるあきこさんは「心動かされるいいお話が聞けました」と喜んでくださり、インタビュー終了となりました。

その後まもなく、内容確認のための原稿をお送りいただいたのですが、すっきり整った内容に、「ライター」という人はすごい!と感じました。
「名建築が子どもたちに与える影響はどのようなものですか?」
「生徒たちによる校舎の丁寧な掃除がおこなわれていましたが」
「食堂を中心とした学校づくりについて教えてください」
「スローライフに当たる教育方針があれば教えてください」
「この建築の未来をどのようにお考えですか?」等々の質問のもと、お話ししたことが分かりやすい言葉でまとめられていました。
また意外なことに「通常1ページの連載を、今回は2ページに増やすことができました」といううれしい言葉もいただきました。

自由学園は都心から20分という場所でありながら、緑豊かな恵まれた教育環境にあります。起伏のある3万坪のキャンパスには小川が流れ、およそ4000本の樹木に囲まれるように、遠藤新・楽さん親子によって設計された校舎が配置されています。
「自労自治」「生活即教育」の理念に基づき、生徒たちは自分たちの手でこのキャンパスを掃除し、維持管理しています。「新天地」と呼んでいる畑では幼稚園から大学部の学生までが農作業に取り組み、5000㎡の芝生の管理も生徒が行います。

自由学園の創立者羽仁吉一先生は、大正末に現在学校のあるこの地に10万坪の土地を購入し、7万坪を分譲地とし、残りの3万坪を学校用地としました。
古い記録では「農場」用地と紹介されています。私たちにとって、豊かな自然に恵まれたこの地と美しい校舎は、「生活即教育」の実践を支える大きな財産です。

自由学園を初めて訪れる子どもたちは、まず自然豊かなキャンパスに驚き、「この緑の多い学校で学びたい」という感想を語ってくれますが、入学後数年もすると、美しい自然の存在は当たり前になってしまうようです。これは一見残念なことのように思われますが、私はそうではないと思っています。美しい自然を当たり前のものとして感じる感覚は、その人の中で美しさに対する感性として、非常に大きな一生の財産になるのだと思います。

建築についても同様です。フランク・ロイド・ライトは、自由学園の校舎について、「自由なる精神」を基調にデザインしたもの、と述べています。ライトの弟子の遠藤新は、このデザインの精神を受け継ぎ、南沢キャンパスを設計しました。
生徒たちは1年、2年、3年・・・という長い年月を、世界標準とも言うべき本物の美しさを備えた校舎で生活し、ゆっくり時間をかけて、この建築の美しさを肌で感じています。そしてこの美しさを一つの基準として感性や創造性を育んでいきます。インタビューの中で「名建築が子どもたちに与える影響」とは、との質問を受けましたが、「名建築」は、自然の美しさとあいまって、美しさに対する感覚を養っていると考えています。

毎日私たちを取り囲んでいる自然環境や建物は言葉を発することはありませんが、長期にわたって人を育てる大きな土台です。教育現場ではその価値をもっと大切に考えるべきではないかと思います。

2016年10月21日  高橋和也 (自由学園学園長)

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