第25回 失われた2羽のウコッケイの話/学園長ブログ - 自由学園 リビングアカデミー(45歳以上の方々の学校)

第25回 失われた2羽のウコッケイの話/学園長ブログ - 45歳以上の方々の学校【自由学園 リビングアカデミー】

学園長ブログ

第25回 失われた2羽のウコッケイの話

「ウコッケイが2羽いません。」

朝、初等部に礼拝に行くとウコッケイ小屋の周りに6年生が集まり、そんな声が聞こえてきました。もう一度数えようと2人が小屋に入り数え直しましたが、2人の数を足すとやはり「13羽」。2羽がどこかに行ってしまった様子でした。小屋の裏を見る人、隣の1年教室のテラス下をのぞく人、植え込みの中を探す人。みんな心配そうでした。

勝手に出られるような小屋ではなく、入り口が開けっ放しだった様子もありません。どうしてそんなことになるのかと思い先生に伺うと、「前日に外に放した後に生徒がきちんと数えず中に入れ、2羽が小屋の外に出たままだったのではないか、そうだとするとこれだけ時間がたてばもうやられているのではないか」とのこと。学園内にはハクビシンも潜んでおり、ひと月ほど前には、猛禽類のツミがハトを捕まえて飛び去る場面に出くわしたことも思い出しました。先生方も心配そうでした。前日に担当した子どものことも気にかかりました。

初等部では4月からいくつかの学年が種まきを行い野菜を育て始めていることに合わせて、その日の礼拝では聖書の中の「種をまく人のたとえ」についてお話をする用意をしていました。しかしいなくなったウコッケイを探し回る子どもたちの心配そうな様子を見て、「失われた1匹の羊」についてのお話をすることにしました。いつかみんなにしたいと思っていたお話だったのです。

・・・今、ウコッケイがいなくなったって6年生が心配していました。一生懸命探していました。

聖書には、羊がいなくなってしまうお話があります。100匹の羊を飼っている羊飼いが放牧を終えて、さあ家に帰ろうと思い、羊の数を数えます。1、2、3、4、5、・・・97、98、99、あれ?1匹足りないぞ。もう1度、1、2、3、4、5、・・・97、98、99、あれ、やはり1匹いない。さっきの6年生と同じように何度も数え直すんです。でもいません。

この羊飼いは、1匹ずつの羊のことがよくわかっているんです。ははー、いないのはあのジョンだ!とか。

「えー、どうやってわかるのかなあ?」「声かなあ?」

そう、声かもしれないね。顔かもしれない。そして1匹いないとわかった羊飼いは、99匹を残してその1匹を探しに行くんです。崖の途中に迷い込んで身動きが取れなくなった羊を、羊飼いが崖をよじ登って助け出しているところを表した絵があるんだけど、みんながウコッケイを心配したように、羊飼いは1匹の羊を大切に思っているんです。そしていなくなった羊を見つけると羊飼いは大喜びで、その1匹を抱えて家に帰ってくるんです。

このお話はどんなことを伝えているんでしょう。神様はこの羊飼いのように私たち一人ひとりを大切に思って、迷子にならないようにいつでも心配していてくださるっていうことなんです。そして迷子になればどこまでも追いかけて探しくださるということです。私たちが神様を探しているのではなく、神様が私たちを見つけようとしてくださっているんです。私たちは神様にとって本当に大切な一人ひとりであるということを忘れずにいてくださいね・・・。

また、ちょうど礼拝が始まる前に1年生の前に座っていた担任の先生が、一人ひとりの子どもたちの顔を目で追いながら様子を確認し、人数を数えている様子を目にしたので、羊飼いのお話に合わせて、「礼拝前に先生がみんなの顔を見ながら黙ってみんなを数えていましたよ。1、2、3、4、5、・・・。気が付いていた人はいますか」と聞きました。何人もの子どもたちが「知ってるよ」と、うれしそうにいつもの先生の習慣がわかっている様子で答えてくれました。きっとそのときに先生と目が合うのでしょう。羊飼いが自分の羊がわかるとともに、羊も羊飼いに自分が知られていることがわかり安心する。これもまた聖書の言葉を確認するようなうれしい場面でした。

礼拝の終わりのお祈りの中で私は「いなくなったウコッケイがどうか元気に出てきますように」と一言添えましたが、礼拝を終え、「もうやられている」に違いないウコッケイのことはお祈りに加えないほうが良かったかなあとすこし複雑な気持ちでした。

ところが礼拝を終え靴を履いていると、礼拝前にウコッケイを探していた先生が近づいてこられて一言、「ちゃんと小屋の中に15羽いましたよ。数え間違えです。慣れてないと2羽が一緒に丸まっていたりしてわからないんです。お話の途中ではお伝えしませんでしたが」と。神様への感謝がこみ上げてきました!子どもたちにはお昼の食堂でこのうれしい報告がありました。

2017年6月9日 高橋和也(自由学園学園長)

 

 

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