第26回 30年後を見据えて国際交流を/学園長ブログ - 自由学園 リビングアカデミー(45歳以上の方々の学校)

第26回 30年後を見据えて国際交流を/学園長ブログ - 45歳以上の方々の学校【自由学園 リビングアカデミー】

学園長ブログ

第26回 30年後を見据えて国際交流を

たった2泊3日の交流とは思えない親密な繋がりが生まれたことに驚いています。お別れ会の最後には年齢男女の別なく手をとり肩を組み写真を撮りと、別れを惜しむ姿がありました。

米国ニューヨーク州にある私立学校マスターズスクールの高校生男子6人、女子8人、先生方お2人を男子部にお招きしての2日間。この短さでよい交流が出来るかと心配もしましたが、その心配は杞憂に終わりました。

マスターズスクールはニューヨーク郊外にある半寮制の私立中学高等学校です。1877年、牧師家庭に生まれたEliza Bailey Mastersさんが創設。現在は小学校5年に該当する5th gradeから高校3年12th gradeまで、8学年650人が在籍しています。当初は女子校でしたが、1995年に高等学校を共学化し、小6~中2が男女別学、その他は共学の学校です。
敷地は自由学園の約4倍。国際色豊かで、アメリカ国内からだけではなく31の海外の国々からも生徒が集まっています。

今回の交流のきっかけは、2014年、ジャパンソサイエティ主催のアメリカ研修プログラムに自由学園の教員が参加したことにさかのぼります。研修の後、自由学園に関心を持ってくださったジャパンソサイエティの日本代表ロバート・フィッシュ先生を自由学園にお招きしました。(ジャパンソサイエティは「日米相互の理解・感謝・協力」を目的に1907年に設立された非営利組織です。)

その後フィッシュ先生は、教育現場での国際交流を願われ、マスターズスクールに転職。昨年、国際交流を担当する苑菁Yuàn jīng先生と共に自由学園に来校され、交換留学の話が進みました。

さっそく今年の春休みには自由学園から女子部男子部の高等科生徒各2名、計4名が第1回目の短期交換留学生としてマスターズスクールを訪れ、2週間を過ごしました。この間、フィッシュ先生の奥様が教鞭をとっておられるブロンクスの公立高校Bronx Collaborative High Schoolとの交流もさせていただきました。私立公立の両校との交流は、生徒たちにとって視野を広げる貴重な体験となりました。2週間を過ごした一人部屋,二人部屋の寮室も、好きなものをセルフサービス形式で選べる食事も快適だったようです。

参加者の一人男子部高等科2年生(当時)のA君は、帰国後次のような感想を述べています。

「マスターズスクールの授業は選択式で、自由学園の懇談や討議のように生徒が互いに意見を言い合いながら進みました。始めは意味がよく分からないまま進んでしまっていましたが、日を追うごとに参加できるようになりました。相手の考え方や価値観を知るとともに、日本や学園の考え方を伝えることができました。

Bronxの公立の高校では日本語の授業のサポートをしました。一見怖そうな生徒も話してみるととてもフレンドリーで、私たちを歓迎してくれました。人種や言語を超えて仲良くなりました。一方、食事や服装など貧富の差を感じるところもありました。

今までメディアからの情報などを通してしか知らなかったアメリカも、実際に行くと予想と全然違い驚きの毎日でした。自分たちがいかに小さな考えや価値観にとらわれていたかを知り視野が広がるとともに、自由学園の考え方や自治は世界で通用することも分かりました。」

今回の自由学園訪問にあたって、フィッシュ先生からは「異文化体験として、是非、自由学園の自治的な寮生活を経験させたい。アメリカの高校生にとって掃除や食器洗いなどの経験は非常に有益。この交流が20年後、30年後に印象深く思い出されるような体験になればいいですね」との勇気あるご提案がありました。

昨年の国際センター発足以来、自由学園では海外交流を積極的に進めてきています。今学期もすでにフィンランドとハワイの高校生たちを受け入れての交流を行いました。それぞれよい交流が生まれましたが、私たちの寮に海外の生徒たちを受け入れたことはありませんでした。これまでの海外交流プログラムは、すべて生徒たちの受け入れにご協力くださる安心で安全なホストファミリーのご家庭のお支えにより実現できていることなのです。

異文化交流プログラムは、自分とはまったく異なる文化、異なる価値観を持つ人がこの地球上には存在するということを実感として肌で感じる体験を前提とし、その上で、国や人種や文化の違いを超えて、互いに理解し合い、手を取り合うことを学ぶことを目指すものです。ところが海外との学校間交流を進めるときにとかく私たちは、いつも以上に慎重になり、失敗の起こらない範囲での相互理解のための体験プログラムを計画しがちです。

そこで今回初めて、「30年後を見据えて」というフィッシュ先生のおおらかな言葉に促され、マスターズスクールの男子生徒たちを東天寮に迎えることにしました。

今回の体験が双方にとって印象深い大切なものとなったことは、お別れ会の様子から十分に感じ取ることができました。

グループで行動した都心の自由見学や英語担当の先生が工夫してくださった学校周辺の「課題つきグループ散策」も両校の生徒間の関係作りに有効だったようです。裸で入る日本式のお風呂や起床後の「乾布摩擦」のハードルは高かったようですが、「スポーツパーティー」や学年混合のにぎやかな部屋など、男子生徒たちは東天寮生活も「満喫」した様子でした。

今回は行事と重なり女子部での受け入れができなかったことは残念でした。女子の生徒たちをホストファミリーとして受け入れてくださった女子部、初等部の保護者の皆様に心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

2017年6月28日 高橋和也(自由学園学園長)

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