第83回 新年礼拝 「主イエスが私たちを愛してくださったように」/学園長ブログ - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

第83回 新年礼拝 「主イエスが私たちを愛してくださったように」/学園長ブログ - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

学園長ブログ

第83回 新年礼拝 「主イエスが私たちを愛してくださったように」

2021年1月1日

新年あけましておめでとうございます。
皆さん、お変わりなくお元気でお過ごしでしょうか。

2020年は世界中が大きな困難に直面する年となりました。その困難は今も続いています。そのような中、自由学園にとって創立100周年を迎える大きな節目の年である2021年、新しい年の始まりを皆さんと共に礼拝をもって始められることをうれしく思います。

始めに聖書をお読みします。

ヨハネによる福音書13章34-35節
34あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。 35互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。

1月1日の1週間前は12月25日、クリスマスです。毎年のことですが、クリスマスの喜びをもって、新年を迎えることができることはとてもうれしいことです。

今年のクリスマスは学校では例年のように全校で集まり礼拝をし、音楽会行い、お食事を共にすることはできませんでしたが、それぞれ工夫して形を変えて、心を込めてクリスマスをお祝いすることができました。

私は初等部のクリスマス会に参加し、1年生の降誕劇を見て、自由学園の教育の土台がこのキリストのご降誕にあるとあらためて強く感じました。

「おめでとう、恵まれたかた。主があなたと共におられます。」
「主のおっしゃることはその通りになると、心から信じられる人は、何と幸いでしょう。」
「この子は世界中でいちばん暗い、貧しい、寂しい所に生まれたのですね。」
「このかたは、あなたがたのための、神さまのしるしなのです。」

子どもたちによって交わされたセリフです。

神様は、この暗く、貧しく、寂しい世界の片隅に、その大切な独り子であるイエス様を、私たち人間の罪を引き受けてくださる方として、人間に対する愛の印として贈ってくださいました。それはありのままの私たち一人ひとりを、神様の大切な子どもとして愛してくださったためでした。このキリストを通じて示された、私たち一人ひとりに注がれた神様の愛を、信仰によって受け入れ、イエス様を私たちの救い主と信じること。ここにクリスマスの喜びがあり、私たちの希望があります。そして自由学園の学びと生活の確かな土台がここにあります。

2学期の生活は登校が再開されたとはいえ、コロナ対応のため学校でも寮でも、様々な試行錯誤の連続でした。できなくなったことがたくさんある生活の中で、皆さんも我慢をすることがたくさんあったことと思いますし、今もその残念さを抱えて生活していることと思います。

しかし私はこの2学期を振り返り、自由学園で本当に大切にしたいと思っていることが変わらずに実現されていることも感じ、とても勇気づけられてきました。また目指す学校の姿にむかって、今まで以上に力強く進んでいると感じることもありました。これはとてもうれしいことでした。

中でも私が一番うれしく思っていることは、皆さんの中に、人を思う温かい思いやりがたくさん生まれていたことです。自分がきちんと熱を測ることや、手を洗うこと、初等部ではハンカチチェックがありましたが、ハンカチを持ってくることなども、みんなの健康につながる行動と言えます。一人ひとりが今まで以上に周りの人のことを考えて生活していました。

学校生活が始まり2週間ほどが過ぎたころ、女子部・男子部の委員長、副委員長、寮長たちから近況報告を受けました。コロナの状況下で、自治的生活運営の中心となり、責任を担っている人たちです。

手洗いや消毒の徹底を呼び掛けていること、食事時間には同一方向を向いて沈黙して食べていること、寮では自分の部屋以外には入らないようにしていること等々、女子部・男子部ともに、感染防止策を徹底した新しい生活や、新しいルール作りについて報告してくれました。その話しぶりからも責任感と緊張感をもって前例のない生活に取り組んでいる様子が伝わってきました。

一通りの報告の後、私は「では次の課題は何ですか?」と質問しましたが、その答えはとても印象的でした。

「これまで日常的に行っていた全員で集まる場が持てなくなり、互いの様子が見えなくなっている。今まで女子部で大事にしてきた学年を超えた温かいつながりやコミュニケーションをこの状況の中でどのように実現できるかということ。」

「互いを知り合う機会が減っている。こういう時こそ互いの生活を知り合うことが必要だと感じる。」

「食堂では人数を減らして食事を行っているが、今までのような温かい交わりは難しい。どうしたら食事時間を少しでも楽しい時間にできるか。みんなと一緒に新しい形を考えたい。」

「新学期が始まり様々な形で緊張ある寮生活を送っている。寮長はルールを守らせる立場であるが、その上で、今まで僕たちの寮が持っていた愛をどのように実現することができるか。これを目指していきたい。」

人と人が身体的に距離をおくことが求められているコロナ禍の状況にあって、委員の人たちが自由学園の学校生活において大切に守りたいと願っていることは、「温かさ」、「つながり」、「愛」の実現でした。

私は生徒たちのこのような問題意識を本当にうれしく、頼もしく思いました。これらの言葉は、このように語る人たちがこれまでの学校生活を通じて、「温かさ」や「つながり」や「愛」を、大切なものとして実感してきたことを示すものでした。そしてその大切なものを、今この難しい状況の中にあって、どのように実現することができるかと頭を悩ませているのでした。特に気にかけていたのは今年入学した新入生たちのことでした。

創立者の羽仁もと子先生は「人間のもっとも大いなる幸福は、多くの友だちと共に一生懸命その団体をつくりつつ守られてその中に棲むことです。反対に人間のもっとも不幸なことは、たった一人ぼっちでいることです。」(羽仁もと子「団体について考える」1937)と書かれています。

また、自由学園は、毎日の助け合い、支え合う生活の中で自然に人を愛することを学ぶことができる「愛の学校」であり、愛の協力、愛の建設こそが唯一無二の学校の心であると書かれています。委員の方たちが、優しさやつながり、愛を実現する社会でありたいと願い、様々な取り組みをしたこの姿勢に、私ははっきりと「愛の学校」の姿を感じました。皆さんもきっと同じような思いで様々な行動をとった人がたくさんいることと思います。

12月23日、終業式を終えた男子部のホールでは、コロナの中で生活に困窮し家を失った方々の支援をする活動に参加する人たちが、その夜お届けする、おにぎり、クッキー、クリスマスカードを用意していました。このほかにも自分でできることを考えて、学外の問題にも目を向けて活動している方もいることと思います。

自由学園で学ぶことの最も深い意味はどこにあるのか。それは愛を学び、愛の協力、愛の建設をする人を目指すところにあるのだと思います。

始めにお読みした聖書の言葉を今回じっくりと読み、私はあらためて深く心に留まったことがありました。

ヨハネによる福音書13章34-35節
34あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。 35互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。

「互いに愛し合いなさい」という言葉は、旧約聖書でも語られているものです。なぜこれが「新しい掟」と呼ばれるのかという問題です。

マタイによる福音書22章37―39節には旧約聖書を引用した「心を尽し、精神を尽し、思いを尽して、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の教えである。第二もこれと同じように重要である。『隣人を自分と同じように愛しなさい。』」という有名な言葉があります。

よく読むと、旧約聖書では『隣人を自分と同じように愛しなさい』とあり、イエス様の言葉では、「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」とあります。つまり、ここには自分を愛するように人間的に愛するか、イエス様が私たちを愛してくださったように愛するか、という違いがあります。イエス様の与えてくださった愛に倣って、互いに愛し合うことが、「新しい掟」です。またここでは、このように互いに愛し合う人が「私の弟子」と呼ばれています。

自由学園のただ一人の先生であるキリストは、愛の学校づくり、愛の世界づくりの先頭に立って、私たちに生きる源となる力をお与えくださり、私たちを愛の国、神の国の創造に招き入れてくださっています。創立100周年を迎えるこの一年、イエス様からいただいている愛を持って、互いに愛し合う生活、互いに愛し合う社会の実現を目指していきましょう。

天地万物をおつくりになった全能の父なる神様。新しい年、新しい命をお与えくださりありがとうございます。
創立者羽仁吉一、もと子先生があなたへの信仰によって、神の国の実現のために建てた自由学園が今年100周年を迎えます。長い年月の変わらぬお守りを心より感謝いたします。どうか私たち一人ひとりがキリストを通じて示されたあなたの愛を心に受けて、心から生き生きと、あなたに喜ばれる、互いに愛し合う生活を創り出すことができるように、お導きください。どうぞこの年の初めから終わりまで、私達が一人ひとりが神様と共に歩むことができますように。私たちの信仰を強めてください。今世界中で病のために苦しんでいる方々が、そしてその治療にあたる方々がいらっしゃいます。どうか神様のお守りがそのお一人お一人にありますように。私たちの救い主イエスキリストのみ名によって祈ります。アーメン

2021年1月1日 高橋和也(自由学園学園長)

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