苫野一徳(教育学者)さん X 自由学園 X 古瀬正也(ワークショップデザイナー)さん
そして 映画 「Most Likely to Succeed」
4月16日、自由学園 男子部・女子部 中等科 高等科の生徒達は、熊本大学教育学部准教授である教育学者 苫野一徳さんと12の教室とをZOOMで結び2時間半にわたり、「学びとは何か」ワークショップの時間をもちました。
このワークショップの準備として、2点を行いました … 準備①: Future Edu Tokyoとの共催でドキュメンタリー映画 「Most Likely to Succeed」を視聴し、そこで描かれる先進的な教育や現在自分たちが自由学園で受けている教育、そして自分たちがこれから受けたい教育について話し合いを行い、相互に分かち合いました。
視聴した「Most Likely To Succeed」とは、AI やロボットが更に生活に浸透してくる21世紀に、子ども達にとって必要な教育とはどのようなものかをテーマにしたドキュメンタリー映画。アメリカ カリフォルニア州サンディエゴにあるHigh Tech Highという、学校の紹介とあわせて多くの有識者や教育関係者への取材で構成されています。
準備②:苫野一徳さんとのワークショップをより良く、かつ生徒にとって最大限に自分ゴトとするため、生徒14名が4月7日に行われた、ワークショップデザイナーである古瀬正也さんによるファシリテーション研修に参加し、ファシリテーションの基礎について学びました。そして、この研修に参加した生徒14名が、4月16日の映画鑑賞後の話し合いを、合計12教室に分かれて運営しました。
ワークショップは対話、相手を言い負かしてやろうとする議論ではない。対話は共生の道であり、共存の原理。お互いの意見をテーブルにそっと置いて、意見の背後に流れる(意味)に耳を澄ますことこと。対話とは、意味の流れ、流通、交換、分有。相互理解と共通了解をめがけた意味の分かち合いであり、それを効率的に運営する役割を負うのがファシリテータ。(古瀬正也ワークショップデザイン事務所HPから引用、抜粋)
当日のワークショップでは、高等科3年の生徒がファシリテータとして進行を担い、その中で出された下記の問いが生徒達からあげられ、ひとつひとつ丁寧に苫野一徳さんがご自身の考えを伝えました。
●授業はどうしたら楽しくなるのか
●どうして教科書や試験がなくならないのか
●今の日本の教育のいい点、良くない点は何か
●これからの教育はどうなっていくのか
●想像し、探求する学びと、教わり、知識を蓄積することのバランスはどう取っていけばいいか
●理想の学校とは
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自由学園は「生徒が創る学校」。自由学園には「生徒手帳」や「校則」はなく、生徒が話し合いによりルールを作っています。「自労自治」の精神の下、全校生徒が協力して学校運営に取り組み、それぞれの年齢、発達段階に応じ、生徒たちは「自由」と「責任」を学んでいます。学校という小さな社会を仲間と共につくり出す経験を通じて、よりよい社会とはどのような社会であるかを考え、自らの手でその社会をつくりだす力を引き出し育てる教育を実践しています。社会がどのように変化しても、このような力が、自らの人生を切り拓く力として、その一生を支える土台になると考えています。
自由学園では「生活即教育」の理念のもと、生活のすべてを学びの機会とし、また教科横断的な学びを通じ、物事を総合的に捉える力を養うことを大切にしています。このような学びをさらに自主的な取り組みとすべく、中高の段階では昨年度、「探求」の時間を設けました。私たちを取り巻く生活環境は、近年急速に複雑化、多様化し、様々な地球規模の課題を抱えるものとなっています。これらの課題に他学年・異年齢の生徒たちがグループをつくり取り組む「共生学」も始まっています。