第20回 風信子(ヒヤシンス)/前最高学部長 渡辺憲司のブログ「時に海を見よ その後」 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

第20回 風信子(ヒヤシンス)/前最高学部長 渡辺憲司のブログ「時に海を見よ その後」 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

前最高学部長 渡辺憲司のブログ「時に海を見よ その後」

第20回 風信子(ヒヤシンス)

2016年2月26日

雪の朝昨夜遅くに舞っていた小雪が、学園の梅林に少し残っていた。
冷たい風が吹いていたが、小学生の「お早う」の声に春の便りがのってくる元気の出る朝だった。

「風信子」と書いて、「ヒヤシンス」と読む。

その日の朝(2月25日)の礼拝で「ヒヤシンス」の話をした。

花屋の店先では、一年中見るような気もするが、春の訪れを告げる花である。
先日、池袋のサンシャインの文化会館で関東のガーデニングの花々の展示会のことを教えてもらったので出かけたが、その時もヒヤシンスは見事だった。

太陽神アポロに心惹かれるギリシャ悲劇の美少年ヒュアキンスの血から咲きだした紫の花にその名は由来するのだそうだ。

花の漢字は読みにくいものが多いが、「風信子」と書いて、「ヒヤシンス」とはなかなか読めない。
学生諸君の中には、松浦亜弥の「風信子(ヒヤシンス)」を知っている人も多いだろうから、ごく当たり前に読めるかもしれない。

私がヒヤシンスの漢字を知ったのもこの歌からだ。

小生70を超える爺さんだから松浦亜弥をよく知らないが、彼女は、2010年神宮、ヤクルト開幕戦で国歌を独唱している。後で、当時の同僚のヤクルトファンから聞いたのだが、これは実にいい歌だったそうだ。

風信子(ヒヤシンス)の歌は、ビートを効かせてこんな風に始まる。作詞作曲は谷村新司。礼拝でこの歌を流した。

「空を見上げる時は いつも独りぼっち
悲しいこともあるけど すべて意味があるんだね
通いなれたこの道 幾度季節は流れ 思い返す泣き笑い
私の学生時代 桜の花びらを踊らせるものは何
目に見えない風が そこに吹いているから・・
ありがとう 私はいつか私らしい風になる
ありがとう あなたがくれたすべてにありがとう
ありがとう あなたがくれたすべてにありがとう・・

いつもうつむいている そんな友達がいた
ずっとふざけてたけれど やさしい友達もいた
いつも65点の私はどんな色だろう ふつうで生きてるけれど
これが私なんだろうか あなたがいつか言った愛する人の為
ささやかに生きてゆく 色のない風が好き
ありがとう 私はいつか私らしい風になる
ありがとう あなたがくれたすべてにありがとう
・・・・ありがとう あなたがくれたすべてにありがとう

過去の恋を思い出す歌なのだが、この歳になっても、心の奥底を揺らすようないい歌だと思う。
讃美歌の後に流すなど不謹慎だという声があるかもしれないが、私は、この歌声に祈りを感じる。

ヒヤシンスが日本に渡来したのは、江戸時代の終わりである。
風信子は、夜香蘭とも呼ばれていたようだ。

光の子に風が吹く。
梅香とともに風が吹く。
それは光の風の便りだ。

「風信子」花言葉は「悲しみを超えた愛」

2016年2月26日 渡辺憲司 (自由学園最高学部長)

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