●自由学園は1921年(大正10年)に羽仁吉一、もと子両先生によって、キリスト教精神に基づき、
知識のつめこみではなく、真の人間の基礎を作ることを目指して創立されました。
女子部、ついで初等部、男子部が開かれました。その後1938年(昭和13年)に
その生活からよき頭脳をつくる
その生活からよき人情をつくる
その生活からよき手腕をつくる
その生活からよき健康をつくる
その生活からよき国民をつくる
をモットーに幼児生活展覧会が開かれ、その翌年の1939年(昭和14年)に幼児生活団が開かれ
ました。
羽仁もと子先生の「おさなごを発見せよ」の文中に、「どうすれば子供たちが真面目に育つか、
その真面目な人格を基礎として、さらにその中に自由自在に目のきく働きのある頭脳(あたま)が
出来てゆくか、縦にも横にも強くはたらく実行力が生まれてくるか。
それはただ、子供自身がその生命(いのち)の中に、自らの生命を護り育てるために、なくて
ならない強い賢い力を授かっているものであることを確信して、赤ん坊の泣き方にも幼児の
まわらぬ口にそのおさない思いを語る時にも、それらによってほんとうに彼を知ることが第1です。
あらゆる教育の工夫は皆そこから出てきます。われわれの幼児の教育も養育も、この趣意に
よって一貫されていることを忘れないようにしましょう。」と書かれております。
この信念に基づいて幼児生活団は歩んで参りました。
●幼児生活団は、幼い子供たちが日に日に伸びて行くその健康を、精神を、お互いに楽しくきたえ
合うところです。
●幼い人たちが大きくなって来ると、ただ家庭の中にばかりいたり、また漠然と友だちと遊ぶと
いうだけでなく、健康の上にも精神の上にも独りだちの用意をしなくてはなりません。
小学校に上がるようになってからでは遅いのです。
●楽しく自分のことは自分で出来るように生活の基礎を身につけて
いくのもこの時です。
お母さまをはなれて、お友達の中で元気に遊ぶ社会的な訓練が、
ほんとうに生かされるのもこの時です。正しい人になりたいという
志も、この時期にはっきりしてくると思います。
それらの大切な意味をもって、生活団の子供たちは年齢別に
集まって、指導者といっしょに楽しい励み合いの生活をします。
4才組が初めて来た日に手洗いをしている所
●生活団では、自分のことは自分でできるように生活講習をしています。
4才組では、手を洗う、うがい、衣服の脱ぎ着、お手洗いへ1人で行く、などの生活習慣を、
子どもが励み表をつけながら1つ1つ積み重ねて、1年の終わりには良い生活習慣が身について
ゆきます。これは、単に習慣づけるというのではなく、すべての子どもに確かに与えられている
純真な生命の力に呼びかけることによって、子ども自身がその意味も、方法もよく理解し、
自分の力でじっくり身につけていけるようにと考えています。
●美術や音楽は幼い時から、特別な才能教育として教え込むのではなく、日々の楽しい励みあいの
生活の中に、すべて含まれているものと思っています。
幼い人が自然の美しい色にも形にも音にも感じる
心、それを表そうとする心が育つようにと願って
おります。
数年に1度、自由学園全体で美術工芸展覧会が
開かれ、幼児生活団の作品も展示しています。
音楽は歌や合奏のほかに、5才組からは週に1度
リズム(グループ)と、ピアノ(個人)が始まります。
●現在生活団では、4才組はじゅうしまつ、5才組は
うずら、6才組は鳩の飼育をしています。
自然科学的な探究心を育てるばかりではなく、
子供たちが正しくものを見、愛することを感じ、
根気強さ、働く楽しさを知るようにと願っています。 5才組から「手あらい」の歌を教えてもらう4才組
植物を育てることも、その年齢に応じたものを選び、
畑の土を用意するところから始めて、植物が育ち、最後の収穫(結果)が出るまでを、世話をしな
がらよく見ていくようにしています。生活団の庭だけでなく、自由学園内の畑でも育てています。
周囲の愛情に包まれているこの幼い時期に、自分が愛情を受ける立場にあるだけでなく、
自分よりも弱いものへの愛情をそそぐ立場に立ち、その喜びを知ることは、あたたかい深い人情を
培うために欠くことのできないことです。
●私どもは、学校にあがるまでのお子さんたちは、家庭の中で落ち着いて暮らすことも大切だと
思います。ご家庭で過ごす時は、生活団で約束したことを、また勉強したことを、たのしく
覚えたことを
考え直したり、実行していただく大切な時です。そこにご家庭のご協力を
お願いいたします。
「ふんぱつこどもの日」にしたことは、その日に連絡帳にしるしてお渡ししております。
●幼児生活団の教育は、お子さんたちの生活を中心にご家庭の方々と指導者がいろいろ研究
し合い、協力し合って行われております。
●食事は子供たちの大切な教育の時なので、当番のお母さま方(又はお家の方)が
調理担当の職員と共に作って下さるあたたかいお食事をみんなそろって食堂でいただきます。