冊子『川田文子さんのこと』刊行  戦時、学徒動員の勤務中に空襲で亡くなった自由学園の生徒について、後輩の生徒が探求しまとめた一冊/メディア:書籍 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

冊子『川田文子さんのこと』刊行  戦時、学徒動員の勤務中に空襲で亡くなった自由学園の生徒について、後輩の生徒が探求しまとめた一冊/メディア:書籍 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

メディア:書籍

冊子『川田文子さんのこと』刊行  戦時、学徒動員の勤務中に空襲で亡くなった自由学園の生徒について、後輩の生徒が探求しまとめた一冊

2022年12月3日

2022年10月に、自由学園出版局より冊子『川田文子さんのこと』を刊行いたしました。
平和について考える時に、ぜひ皆様に思い出していただきたい一冊です。

川田文子(かわだふみこ)さんは、自由学園女子部23回生(1938~1944年在学)で、1944年度に学徒動員で中島飛行機武蔵製作所(現武蔵野市に所在)に勤務中、同年12月3日の空襲で亡くなられました。一瞬の差で生死を分けた同級生による証言「川田文子さんの殉職」(『自由学園の歴史Ⅱ』他)が自由学園資料室に残されています。

2021年度、中等科・高等科では、一人ひとりの主体的な学びを深める取り組み「探求」が開始されました。本冊子は、昨年度の「探求」において、当時女子部高等科3年生だった山澤遥乃さん、山澤綾乃さん(双子の姉妹)が取り組んだ「川田文子さんのこと」を、平和学習の参考資料とするためにあらたに編集したものです。 

今後、自由学園内でも生徒の学びのために活用していく予定ですが、漫画やポスターなど、子どもたちに手に取りやすい表現でまとめられていますので、小・中・高校生にも手に取っていただきやすいと思います。
川田文子さんと同じ世代として若い二人が感じたこと、戦争に対する思いなどは、男女を問わず、大人の方にもぜひお読みいただきたいと願っています。

■冊子『川田文子さんのこと』A5判 67頁
自由学園出版局 2022年10月発行
作者:山澤遥乃・山澤綾乃
定価:1,100円(税込)

■冊子の購入方法
冊子の送付をご希望の方は、こちらの書籍注文フォームからお申し込みください。
(フォーム内にある書籍類については、本サイト内「自由学園関連書籍」のページでご紹介しています。)
*お申込みの流れ
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自由学園しののめ茶寮のショップ
  (10:30~16:30 月曜定休・臨時の休みあり TEL:042-424-2440)

購入についてのお問い合わせ先:自由学園出版局

E-mail:books@jiyu.ac.jp TEL:042-428-4232

■メディアでの紹介等は、本ページ内に関連記事のリンク集があります。

■ポスター(制作は最高学部学生)
画像(png)をクリックすると拡大してご覧いただけます。
ポスターのpdf画像は、こちらからご覧ください。

■内容および編集について
上記のポスターにもあるように、当時の川田文子さんとちょうど同年代の山澤さん姉妹は、「探求」を進める中で、戦争中の自分たちの学校の歴史、そこに生きた一人の方の記録・記憶に向きあい、自分たちの方法・表現でこれに応える努力をしました。調査資料から学んだ事実と考察した結果は、漫画、ポスター発表、当時の資料の書き起こしという形で、昨年学内で行われた「学びの共有会」で初めて発表されました。それを見た多くの生徒・教職員がその熱心な取り組みと内容の濃さに感銘を受け、川田文子さんの存在を身近に感じて平和について改めて考える機会ともなったのです。そのことがこのたびの冊子刊行のきっかけとなりました。本冊子には、上記の発表内容に加えてエッセイなども追加されています。
なお、編集にあたっては、山澤さん姉妹(現在最高学部1年)を学園資料室、美術科教員がサポートし、また川田文子さんの姪にあたる早川喜久子様、立命館大学国際平和ミュージアム様のお力添えを得て、完成させることができました。

■目次
下記の画像(jpg)をクリックすると拡大してご覧いただけます。
pdf画像は こちらからご覧ください。


■「この本を読んでくださる皆さまへ」
冊子のはじめに掲載されている山澤さん姉妹のメッセージです。

下記の画像(jpg)をクリックすると拡大してご覧いただけます。
pdf画像は こちらからご覧ください。

「おわりに」には、次の一文があります。
「文子さんも、千鶴子さんも、私と違う所なんてない。同じ女の子、同じ自由学園生、同じ十九歳。私と同じように学校へ通って、友達と話して。そんな当たり前の日々が、「戦争」という存在に全てを奪われた。日々も、友人も、命も。そして、悲しむ時間さえも。
 私は来年には二十歳になる。再来年には二十一歳になる。三十歳になって、四十歳になる未来がある。でも、文子さんにだって同じように訪れるはずだったその未来は、永遠に訪れなくなってしまった。永遠に奪われてしまった。私たちは決して許してはならない。たった十九歳の命を奪った、大切な友人を奪った、訪れるはずの未来を奪った、戦争を。 」(山澤綾乃)

■「平和」について考え学ぶ
自由学園には、3つの慰霊碑があります。図書館横の芝生の一角には、女子部の生徒で学徒動員中や卒業後に亡くなられた川田文子さんを含む5名のお名前を刻んだ慰霊碑および空襲や原爆で亡くなられた方の慰霊碑(上記目次内の写真)。そして正門近くには太平洋戦争で戦地や野戦病院等で亡くなられた男子部卒業生12名の慰霊碑が建てられており、平和学習の礎としています。二人が川田さんのことを初めて知ったのはこの碑を通じてでした。

男子部 戦没者慰霊碑

また本冊子には、二人が探求テーマに「川田文子さん」を選ぶ背景に、偶然にも山澤さんのお隣に川田さんの姪御さんがお住まいであったこと、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの『戦争は女の顔をしていない』を読んだこと、そして描き進める中で、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったことなどが記されています。

自由学園では「平和」について考える機会をさまざまな形で設けていますが、戦争による被害が連日報道され、平和を当たり前のものと考えることができなくなった今、あらためて、大人も子どもも共に歴史に学び、日々の生活において平和をつくりだす一人として行動していきたいと強く願います。

なお、この冊子は自由学園内にとどまらず多くの方にお読みいただき、ご活用いただけることを願っています。皆さまに本書をお手にとっていただければ幸いです。

■関連記事等
2023年3月3日(金)戦争体験のない世代が伝える戦争の記憶 冊子『川田文子さん』をめぐり、作者の自由学園の学生2名と資料室主任研究員が講演
『東京新聞』に取材記事掲載 冊子「川田文子さんのこと」 戦時中に爆撃により亡くなった学園生について探求した、自由学園生姉妹が想いを語る:自由学園HP
ひばりタイムス:「戦争を考えるきっかけに」自由学園生の姉妹が冊子「川田文子さんのこと」刊行
今週の一冊「川田文子さんのこと」:自由学園図書館からのお知らせ

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