理事長メッセージ - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

理事長メッセージ - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】

自由学園について

理事長メッセージ

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理事長 市岡 揚一郎

理事長
村山 順吉

本年度(2017年4月)より、理事長を拝命した村山順吉と申します。当時目白にあった幼児生活団から15年間を自由学園で過ごし、約半世紀を経て母校に戻ってまいりました。その間は音楽と教職(未就園児子育て支援センターから大学院までの各段階)に携わってきました。常に自分の中の基となるものは子ども時代に自由学園で培われた、物事の本質をできるだけ自由に見ようとする力、難しい環境にあっても周りの状況に耳を傾けながら自分なりの生き方を創造的に摸索する力、そして何よりもイエス・キリストに支えられた自由な感性による生き方だと思っています。

今後は自由学園に通う一人ひとりが、その人だからこそ歩める、その人にしか歩めない人生をその人らしく生き抜く、その支えとなる為に全力を尽くす所存です。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

寄り添う ~ピアノ劇場から~

今まで経験した様々な場面のなかの一コマです。
「コンコンッ、コンコンッ」休み時間になると、せわしないノックとともにたくさんの小学生が私の部屋を訪ねてきます。私は部屋を暗めにし、鍵盤の蓋だけを開けたグランドピアノに光を当て、飛び込むように入ってくる子どもたちを、幻想的な雰囲気のなかに迎えます。
子どもたち「今日は何のお話?」
私「う~んそうだな、学校探検にしようか」
それから、ピアノ劇場なるものが始まります。
あらかじめ作っておいた小道具をピアノのうえに並べ即興のピアノが鳴りだすと、子どもたちの顔はキラキラとしてきます。一緒にピアノを弾く子ども、話の展開に加わる子ども、自作の小道具を取り出す子ども、それぞれが思い思いに楽しんで、話が膨らんでいきます。

このような営みの中で私は、自分の世界に子どもたちを引き込む方向よりも、子どもたちが面白いと感じ興味深く思う子どもたちの世界に、できる限り寄り添うようにつとめてきたつもりでした。そのために話の大枠だけを決めて、あとは子どもたちと一緒にストーリーの展開を楽しんでいました。子どもたちも確かに楽しいと感じているからこそ、休み時間のたびに私のところに集まってくれていたのでしょう。

ところがある日、ピアノ劇場の最中に子どもたちのこんな会話が聞こえてきたのです。それはオバケのペープサートを自宅で作ってきて、参加することを楽しんでいる子どもたち同士のものでした。
「校長先生の、オバケが出てくるのは今じゃない。もっと後だよ!」
私は子どもたちの気持ちに寄り添い、ペープサートを最も効果的に演出しようとつとめていたのですが、その私の気持ちと何回かの即興的演出における私の傾向を既に見抜き受けとめた子どもたちが、私に寄り添って絶妙なタイミングをはかっていたのです。

大人と子ども、それぞれに世界や文化があるとするならば、決して混ざり合うことのない文化の間に、双方から寄り添う温かい接点があるのです。その小さい接点を丁寧に扱うことが、子どもが安心して一歩一歩成長を続けるうえでの、大きな支えとなるのでしょう。教育とは、そのような小さい一つひとつを大切にすることから始まるのではないかと思うのです。

学校=次の時代の活きた社会

近年の日本社会は少子高齢化が進み、今や子どもたちはマイノリティーなのです。少子高齢化が問題視されたのは、高齢者を支える若い世代が少なくなって困った事態になる、という極めて大人サイドからの問題提起でした。一方、子どもの側から見れば、子どもの数が多かった数十年前とくらべ社会全体が大人を中心に回っているが故に、大人が気づけないなかで、子どもたちは少なからず肩身の狭い思いをさせられているのです。それでは大人社会からの求めでもなく、大人の都合故でもない、次の世代を担うべき若い人たちの存在そのものが大切にされ、そこが居場所である社会はどこに実現できるのでしょうか。今の時代、それは学校をおいて他にはないと思うのです。学校のなかでそれぞれがお互いを大切にし、良い力を身につけ、その力を出し合い、よく生きるために協力し、それが機能するとしたら、そこは既に次の時代の活きた社会の始まりと言えるのではないでしょうか。

自由学園は、学校それ自体が活きた社会なのです。そのなかで、将来たとえそれがどのような時代であっても、どのような環境であっても、その人だからこそ歩める、その人にしか歩めない人生をその人らしく生き抜いていく人を送り出したいと願っています。