消防隊出初め式の話
  update 2002/02/20  男子部

 男子部の毎朝の礼拝は、専任教師が交代で司会をし、土曜日は委員長や、寮長や、副委員長がしています。

 私は1昨年4月のはじめ、まったくアイデアと言うものが浮かばず、礼拝の司会が1ヵ月後にある、何を話そうと思っただけで、体調不良になる状態だったので、朝礼拝の司会を免除してもらっていましたが、最近、脳内の血の巡りがよくなり、次々とアイデアが浮かんできて、困ってしまうほどです。

 そこで、今は、礼拝の司会が負担になっている先生の代わりを買って出て、司会しています。先日は、那須与一の物語と、ミセス羽仁の書いた扇の的を紹介しました。
 なぜ、これをテーマにしたかというと、1月10日始業式の後に、多分自由学園初めての消防隊出初め式をやったからです。このとき、私は扇の的を作って空中に掲げ、これを消防隊が水で打ち落とすという演出を考えました。
 ヘリウム風船(直径1メートルくらい)を使って、扇を持ち上げました。水ははじめ扇にあたらず、風船の方にあたって、何と風船はだらしなく地上に降りてきてしまいました。 風船の表面に張り付いた水が思いのほか重かったようで、浮力が足りなくなったのです。それで、打ち落とされた扇がはらはらと風に舞って落ちてくると言う演出にはなりませんでしたが、出初め式をとにかくやり始めたと言うことで満足しています。来年はどういう仕掛けにするか楽しみです。

 ところが、那須与一の話を知っている生徒は今の男子部では中学2年生だけなのです。毎年の国語のカリキュラムには入っていないみたいです。それではあの出初め式の演出の意味も分かってもらえないわけで、礼拝の時間に話すことにしたのです。
 まず、平家物語でだしを覚えているという2年生全員に立ってもらって、祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりを表す。奢れるもの久しからず、ただ春の世の夢の如し。剛き人もついには滅びぬ、ひとえに風の前の塵に同じ。遠く異朝をとぶらえば・・・・を言ってもらいました。いえなくなったところで座るようにとしたら、どんどん座っていって、塵に同じまで言えたのは3人でした。
 そのあと、現代文で那須の与一全部を読んで聞かせました。出初め式の前にはさわりを原文で読んだのですが、意味は取れなかったでしょう。紅地に金の日の丸の扇も会計室の神藤さんにもらった扇子を使って作りました。与一の服装もできるだけ文章どおりの色をつけて、視覚的にしました。
 そのあと、ミセス羽仁の「扇の的を」読んで聞かせたのです。これで、出初め式をなぜやったか、的がなぜ日の丸の扇(このときは白地に赤でちょっと間違い)だったか、わかってもらえたでしょう。自由学園消防隊が、江戸の火消しに負けない心意気を持てるように願っています。


出初式の様子
出初式の様子
空中に舞う風船
空中に舞う風船
声援を送る生徒と先生
声援を送る生徒と先生

(男子部教師:吉良公宏)