最高学部「渡辺和子先生最終講義」
  update 2003/12/18  最高学部

成熟(マチュリティ)ということ

前日の寒い雨の日とは打って変わって澄明な朝日が校庭を包む12月13日(土)には、ノートルダム修道院長・渡辺和子先生による今年度最後の「キリスト教価値観」の講義が、図書館特別教室において行われた。 これが学部での最終講義になるというので、やや緊張気味の学部1年生男女学生62名、及び、卒業生及び父母の聴講生30余名に対して、先生は、ゴードン・オルポートの言葉に拠り、成熟した人間の特徴として、次の6点について述べられた。
 1)広い世界へ関心を持つ(Extension of Self)
 2)民主的人格(Democratic Personality)
 3)情緒的安定(Emotional Stability)
 4)問題中心的態度(Problem Centered Attitude)
 5)自己客観視(Objectification of Self)
 6)統一的人生観(Unified Principles of Life)

これらの諸点について先生は、聖書の言葉やご自身の体験や小説や最近の社会風潮などなどの幅広い話題を用いて懇切に解説された。90分にわたる御講義であったが、先生の厳しい中にもユーモアたっぷりの語り口に、一同時間を忘れるほどであった。


先生は、神の似姿として造られた人間は、理性と自由意志を持った一人格として生きる筈であり、それはとりもなおさず、キリストが大切にされたことを大切にして生きることにほかならない、と強調された。そして、この降誕節を前にして、神の御子が幼子の姿をとって「この世」に生まれたことの意味を静かに考えたいものである、と締めくくられた。

1990年3月、当時、ノートルダム清心女子大学の学長であった渡辺先生は、自由学園第68回卒業式で記念講演をお願いして以来、毎年、主として女子学部生に対して特別講義をしてくださったが、1999年の新学部発足以後は男女学部生を対象に、年に6〜8回の特別講義の時間を設けて下さり、加えて卒業生および父母の方々の聴講も許していただいたことは、真に幸いなことであった。

講義の終わりには、羽仁翹先生の、学園長として、また、個人としての心のこもった謝辞があり、学生を代表して男女2人の学生からはそれぞれ花束と寄せ書きの色紙が贈られた。その後、一同、先生を中心に明るい光に満ちた大芝生を背景にして記念写真を撮った。

渡辺和子先生最終ご講義
花束を渡す荒井くん

渡辺和子先生最終ご講義
渡辺先生を囲んで記念写真

渡辺和子先生最終ご講義
羽仁翹学園長と渡辺先生


学生の感想
荒井聖輝
キリスト教価値観の講義は学部に入学する以前から楽しみにしていました。この講義担当の係には自動的に決まったのですが、渡辺和子先生と直接お話しする機会も多く、本当に貴重な係に就けたことを誇りに思います。 渡辺和子先生は、自由学園の教育の基であるキリスト教を、大変興味深く講義してくださり、私以外にも多くの生徒がそのお話しに感銘を受けました。このように述べると他の講師の方々に失礼かも知れませんが、キリスト教価値観の講義は学部で最も大切な講義だと思います。そして、渡辺和子先生は「キリスト教主義学校で学ぶ生徒は、キリストが大切にしたことを大切にした生き方をしてほしい」とおしゃっていました。大切なのは自由学園において信仰を育てることだと思います。思想、生活と共に、祈りの要素なくして自由学園は成り立たちません。 6回の講義で学んだことをまず私たちが心に留めて生活していく必要があります。なぜなら、神様も渡辺和子先生も私たちに望んでいることは、講義を聴いて心に留めた上で、それを実行に移す信仰をもって生きていくことだと思うからです。 これからの自由学園での生活や人生において、信仰をもって生きることの大切さを教えてくださった渡辺和子先生に深く感謝いたします。そして、私たちが渡辺和子先生の講義を思い出しながら、その信仰を後の生徒にも伝えて行きたいです。

渡辺昌子
普通科、高等科までは、礼拝や読書を通してキリスト教を学んできましたが、学部では渡辺和子先生というキリスト教を礎としている方からお話を伺うことで、今までとは違った勉強になりました。 クラスにはこの講義を聴けるのを楽しみにして進学を決めた人も多く、自由学園から引退なさるのを残念に思っています。渡辺先生の講義は毎回心に響く講義であり、ユーモアを含めながらキリスト教の教えを説いて下さったので興味深かったです。 毎講義後に全員がレポートを提出してきましたが、一人一人が先生のお話と自分の生活や価値観を見直す時間になったと思います。

(学部教師 田村光三)