自由学園男子部生の有志の勉強会「性の自分らしさを考える自由の会」の最近の活動/近況 - 自由学園 男子部/東京の私立中学・高校

自由学園男子部生の有志の勉強会「性の自分らしさを考える自由の会」の最近の活動/近況 - 東京の私立中学・高校【自由学園 男子部(中等科・高等科)】 - 中高一貫教育

近況

自由学園男子部生の有志の勉強会「性の自分らしさを考える自由の会」の最近の活動

2019年6月11日

本日、6月11日(火)22:00から放映予定のNHK総合テレビ「クローズアップ現代+」タイトル「“性の偏見”取り払えますか?~LGBTに寛容な社会のために~」に男子部の取り組みが紹介されます。https://www.jiyu.ac.jp/boys/blog/info/66397
このブログでは、これまでの「性の自分らしさを考える自由の会」の最近の活動について、簡単にプレイバックします。

 

【都立高校にてLGBTと人権に関する講演会】

2019年5月28日(火)、東京都立調布北高等学校にて、男子部教諭の高野慎太郎が人権に関する講義を行いました。本来は、政治・経済の授業を受講する高校3年生を対象としたものでしたが、先生方や受講者以外の生徒も多数参加されました。

高野教諭は講演で「人権を自明視せず、人権がいかにして可能かと問うことが重要です。データをたくさんご紹介したように、人々が利己化・分断化し、民主制・資本制の不具合が進行している現代にあって、人権は極めて困難な状況にある。社会に共約可能な橋を架けられる人が必要なのです。みなさんには、社会を徹底的に観察して、より広い人々とコミュニケーションをとり、共同体(コミュニティ・コモンズ)を創り出す人になってほしい。人権はそうした試みの先に、共同感覚(コモンセンス)となるのです」と語りました。

講義には「性の自分らしさを考える自由の会」から木村翠くん、男子部卒業者の福富優一さんが参加し、参加者と対話の時間をとりました。講演時間が終了したあとも対話を継続する高校生もおり、生徒たちの関心の高さが伺われました。

 

【日本キャリア教育学会のLGBT特別企画シンポジウムに登壇】

2018年12月9日(日)、日本キャリア教育学会の第40回研究大会が早稲田大学で開催されました。研究大会の最後を締めくくる以下の特別企画シンポジウムに男子部教諭の高野慎太郎が登壇しました。

特別企画シンポジウムのテーマはLGBTとキャリア教育に関する内容でした。高野教諭は「カウンセラーに受容された『幸せ』な学校段階を終えたLGBT当事者が、社会に出たあとで自傷や希死念慮に陥るケースが多い。『社会を生き延びるためのキャリア教育』を構想することが急務で、それは単純に当事者の存在肯定をするだけでなく、社会形成能力の育成へと転換する方向性。社会正義に基づいた社会変革を志向するキャリア教育(ラディカル・キャリア教育)が、こうした方向性を後押しする」と述べました。

また、12月7日(金)には、研究大会のプレ企画として自由学園の学校見学が開催されました。韓国から来訪した教育関係者20名を含め、来訪者の数は50名を超え、大盛況でした。「多様性のある社会デザインを考える会」を代表して木村翠君が会の活動に関するプレゼンテーションを行いました。

会の概要:日本キャリア教育学会 第40回研究大会 特別企画シンポジウム
日時 2018 年 12 月 9 日(日)15:20~17:00
場所 早稲田大学 11 号館 7 階 703 教室
テーマ 「一人ひとりを大切にするキャリア教育-キャリア教育はLGBTという生き方にどのように応接するのか-」
登壇者
宮台 真司(首都大学東京)
高野 慎太郎(学校法人自由学園)
三戸 花菜子(特定非営利活動法人 ReBit)
村上 裕(カウンセリングルーム P・M・R)

 

【東久留米市と共同で「多様性のある社会」に関する市民講座を開催】

2019年3月2日(土)、東久留米市役所にて、東久留米市男女平等推進センターとの共同企画市民講座「高校生と考える多様性のある社会―性の多様性を中心として―」を開催しました。

有志生徒団体の「性の自分らしさを考える自由の会」の福富優一くん、松島勇輝くん、木村翠くんと男子部教諭の高野慎太郎が登壇しました。会の生徒たちは、「今日のこの場に多様性のある共同体をつくりたい」と語り、一斉講義だけでなく、グループワークや対話の時間もプログラムに盛り込みました。グループワークや質疑応答では参加者から発言が活発になされ、市民講座が終了したあとも一時間ほど参加者がその場に残り、議論を続けました。

質疑応答では高野教諭への質問が相次ぎました。「市民講座のメイン講師を生徒にしたことの意味は?」と問われ、以下のように答えました。「私に依頼が来た講演や執筆などは、できる限り生徒の学びの場として活用します。背景の一つには、児童中心主義の発想があります。ケネス・グッドマン、大村はまといった先達は、カメラを向けられたときも、社会に働きかけるときも、いかなるときも文字通り生徒を中心に据えました。教師が半歩身を引くことで、社会と切り結んだ迫真性(authenticity)のある学びの場が構築されるとする思考伝統です。」

 

【FMひがしくるめのラジオ番組に出演】

2019年4月18日(木)、FMひがしくるめ(85.4MHz)のラジオ番組「鈴木実穂のonlyわん!」に、自由学園男子部の有志生徒グループ「多様性が輝く社会デザインを考える会」の木村翠(高等科3年生)と顧問の高野慎太郎(男子部教員)が出演しました。

番組の中で、木村君は「僕は2017年の5月から活動に加わりました。きっかけは、なんとなく先生に誘われたのだと思います。活動に参加してみて、これまで、社会にある様々な問題を知らなかった自分が、なんて無知だったのかと痛感しました。活動を積み重ねていくなかで、どんどん課題が深まり、またその課題を解決するために勉強して、社会に働きかけて、また新たな課題を獲得して…という繰り返しだったように思います。しんどいときもありますが、社会に働きかけることができるという自信がつきました。ここまで続けてこられた理由は、正直、自分でもよくわかりません」と語りました。

高野教諭は「木村君の言う『特定の階梯に登ることで初めて見える世界がある』というのが実はピアジェの発達段階説の骨子で、教師の役割は、階梯のあいだの最近接領域を狙ってスキャフォールディング(足場架け)することだとされます。ただ、重要なことは、足場がどのように組みあがるかは子どもの興味関心で決まるのであって、教師が決めるものではないということです。既に完成形がわかっているものを、子どもは積み上げようとしません。この会の活動が長く続いている一因を探るならば、言葉の本当の意味で『未決の未来』を生徒と教師が共に紡いでいっているという点にあると思います」と語りました。

 

【東京レインボープライド2019にブース出展】

2019年4月28日(日)~29日(月)に、東京レインボープライド2019が代々木公園で開催されました。「性の自分らしさを考える自由の会」は高校生初となる単独でのブース出展を行いました。「その場で多様性を創り出す」をコンセプトに、来場者との対話、過去の活動を紹介するパネル展示、活動に関するリーフレット配布、「みんなでつくる社会の未来」と題したダイバーシティ宣言プロジェクトなどを実施しました。

ブースには1000人を超える方が来場され、100名を超える方が対話ブースに入られました。今回の活動は授業の一環としても行われ、「性の自分らしさを考える自由の会」の顧問を務める高野慎太郎教諭の授業の受講生も、多数参加しました。活動の模様は、4月29日17時30分放送のTBSラジオ全国ネットニュース番組「ネットワークトゥデイ」にて報道されました。

 

【東京レインボープライド2019関連イベントで講演会】

2019年5月2日(木)に、カウンセリングルームPMR(日本初のLGBT専門カウンセリングルーム)と「性の自分らしさを考える自由の会」の共催講演会「LGBT支援の本質を考える」が実施されました。本講演会は、東京レインボープライド2019の関連イベントの一環として開催されたものです。

講演会には、「性の自分らしさを考える自由の会」の生徒13名、カウンセリングルームPMR代表の村上裕氏、「性の自分らしさを考える自由の会」顧問の高野慎太郎が登壇しました。

「性の自分らしさを考える自由の会」の生徒は、会の発足当初の思い(仲間をよく理解したい)が次第に社会活動へと繋がっていった過程について写真を用いながら説明し、「理想の社会は僕たちだけでできるものではない。より多くの方々に関心を持ってもらって、少しずつ輪を広げていきたい」と話しました。村上氏は「多様性が輝く社会デザインを考える高校生たちは、社会の未来を切り開く存在。性的マイノリティの当事者にとっても、希望となる」と述べました。

高野教諭は「高校時代から歌舞伎町や新宿二丁目でフィールドワークをしてきて、様々な不条理を目の当たりにしました。その後、教育学を学ぶなかで次第に、社会変革を志向するキャリア教育(ラディカル・キャリア教育)という立場を模索しはじめ、修士論文に 『教育とは、新たな社会をつくる情念の受け渡し』と書いたのが6年前。子どもたちと関わりつつ、その情念を自他に育みたいと願ってきました。いまここにいる生徒が、また新たな人々に情念をともし、その人々がまた…という情念の連鎖を後押しするのが教育の使命」と述べました。

 

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男子部「性の自分らしさを考える自由の会」の取り組みがNHKの番組内で取り上げられます。どうぞご覧ください。
放送局:NHK総合
番組名:クローズアップ現代+
タイトル:「性のバイアス取り払えますか?」
放送日時:2019年6月11日(火)22:00~
番組HP:https://www.nhk.or.jp/gendai/
※番組は都合により変更される場合があります。
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