教育方針
本物を求める教育デザイン - 東京の私立中学・高校【自由学園 男子部(中等科・高等科)】 - 中高一貫教育
教育方針
中等科の教育課程も高等科の全日制普通科としての教育課程も数字だけを見ると多くの学校と変わりありませんが、創立当初から様々な取り組みを行っています。その一部をご紹介します。
知識の習得だけでなく、自分で課題を発見し、自分の頭で考え、自分で解決できる高いレベルの知性を身につける教育を実践しています。生活の中にあらゆる要素を生きた教材として活用し、更に得た知識を実生活に活用できる力を育てています。
隔年で行われる学業報告会は、学園教育のエッセンスを一日にちりばめた会です。男子部の近年の学業報告会では、教員の提示したテーマに加えて、一人ひとりが興味を持ったことについてグループで、もしくは個人で取り組み、報告としての発表、演劇や演奏、ポスターセッション、来場者との対話など、それぞれのグループが、「主体的な学び」をキーワードとして取り組みました。昼食は、400食以上の食事を高等科2年生が作り、作る過程も報告にしました。
男子部に入学すると最初の1年間の間に、自分が教室で使う机とイスを作ります。材料の一部には、60年前から埼玉県の名栗の植林地で上級生たちが育てた杉やヒノキが使われることもあります。
学内で野菜や豚を育て、高等科2年生では、男子部全校生徒の昼食作りもします。学校や寮で出た残飯も豚の飼料とし、育てた豚を食べる中で、命と食の循環を学びます。
英語を本格的に学び始める中1からネイティブスピーカーの英語に触れることで、英語学習への関心が高まります。ティーチングアシスタントとして毎年、イギリス、アメリカから招いた青年が、英会話、スポーツなどの授業に加わります。体操の指導には、デンマークのオレロップ体育アカデミーから指導者を招き「体操会」に臨みます。自由学園独自のプログラムであるカンボジア研修旅行では、現地の人々の暮らしの中に入り、一緒に作業などを行いながら交流します。また毎年イギリスのWinchester College(パブリックスクール)への留学プログラムを実施しています。さまざまな場面を通じ、多様な他者、異質な文化を理解し、尊重しつつ、共に生きる力を育てます。
1年間取り組んだ学びを自ら振り返り、レポートとして記す「まとめ」学習内容を復習し、よく解らなかった部分の理解を深め、次年度への課題を自ら立てていきます。生活面も同様に、何を感じたか、何ができなかったか、次年度は何を励むかを書き表します。「まとめ」は学ぶ力を磨くだけでなく、自らの可能性を発見する大切な機会になっています。
クラスや学園生活を送る上でのさまざまな課題を生徒たちが共有し、解決を図っていくため、真剣な話し合いを行うのが「懇談」です。生徒それぞれが考える正しさ、アプローチの方法があるという難しさに直面しながら、よりよい歩行性を探っていく意義深い時間です。
時間割の中にはありませんが、毎週自分で言葉を選び、清書して提出。一週間を振り返り、自分の言葉で、自分の今を表現します。教科教育を自分のものにしていく学びでもあります。作品の一つひとつに生徒の思索の成長過程が見られます。提出された習字は男子部全員が昼食をともにする食堂に貼り出して、鑑賞し、教師から講評を受けることで互いに学びあっています。