「第4回共生共創フォーラム 社会的投資でひとりひとりが輝く世界を」が開催されました

2025年6月4日(水)10時40分~12時20分に、最高学部棟中教室で共生共創プログラムイベントとして「第4回共生共創フォーラム 社会的投資でひとりひとりが輝く世界を」が開催され、最高学部学生のほか、オンラインで22名の方が参加されました。
今回は、講師としてNPO法人 ARUN Seed代表理事の功能聡子さんをお迎えしました。

功能聡子さん(NPO法人 ARUN Seed)のお話〈要約〉
私が主宰している団体「ARUN(アルン)」の活動と、「社会的投資」による社会変革の可能性について紹介する。ARUNは、カンボジアの社会起業家との出会いを契機に2009年に設立され、「地球上のどこに生まれても、一人ひとりが才能を発揮できる社会の実現」を目指している。
1995年から10年間カンボジアで復興支援に従事。ポルポト政権による内戦の爪痕が残る社会で、人々の“自分たちは無力だ”という空気を肌で感じた。そんな中、農民たちが自らの手で農業を再構築し、自立へと歩む姿に触れ、彼らが本来持っていた力を取り戻していく過程を目の当たりにした。
この経験から、単なる支援ではなく、「自立を支える仕組み=社会的投資」の必要性を痛感。社会的投資は、起業家の挑戦に対してリスクを共にしながら伴走する仕組みであり、単なる寄付とは異なる。成功をともに目指す投資家との関係性が、起業家の背中を後押しする。
ARUNでは、これまでにアジアの11社に対して152万ドルの投資を行ってきた。社会的インパクトを数値で測定し、投資成果の「見える化」にも取り組んでいる。貧困、教育格差、ジェンダー不平等、環境問題、民族間の差別など、社会課題は多岐にわたるが、それぞれの課題に起業家たちはビジネスで挑んでいる。
さらに、クラウドファンディングなどを通じて誰でも支援者になれる仕組みを構築し、参加型の社会づくりを推進している。
ARUNは「CSIチャレンジ」というビジネスコンペを開催し、優れた起業家に対する投資やサポートを行っている。農業支援アプリを提供するミャンマーの企業や、アートと森林保全を結びつけたプロジェクト、障害者の雇用支援、バイオ素材の生理用品開発など、世界各地の多様なビジネスの後押しをしている。
振り返ると、私がアジアに目を向けるようになったのは、自由学園の中学1年生の時のこと。ネパールで医療活動を行っていた岩村昇先生の講演を聞いて視野が開かれ、アジアの人と一緒に生きるって素晴らしいなと、深く心に残った。その夏、信州共働学舎の青少年キャンプに参加。宮島眞一郎先生と過ごした経験から、「人間は自分が持つ一番良いものを出し合って共に生きてゆくことが大切」を教えられた。北海道にある新得共働学舎ではソーシャルビジネスの考えにも触れて印象に残っていた。その後カンボジアにいた時にも、現地の人の考えにふれ、私たちがいかに狭い日本の常識の中で、とらわれた考えをしているかということに日々気づかされた。そういった経験は人を解放し自由にする。私の考えや今の活動もそうした出会いを通して作られてきた。
よりよい社会を作っていくのは私たち一人一人で、皆さんが主役。そして働きかけ方も作っていくものも一人一人違うと思う。よい社会を実現したいというその願いを私たちの中に起こして下さるのは神様である。
「あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起こさせ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである。」(フィリピの信徒への手紙2章13節)。
皆さんの持っている願いを大事にして、そしてそれを実現していかれることを願っている。

  
  

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https://youtu.be/VEmMZHytjW0

最高学部教員 鈴木康平