自主研究で最高学部生が制作しているベンチが先日完成した。また設置希望場所である公園は、東久留米市が管理している為、自治会の方と共に市の担当者との話し合いを進め、許可をいただけた。3月上旬には設置する予定だ。今回は、名栗植林地から材をとってきた後の動きをまとめる。
制作 手作業でていねいに進める
2009年9月30日に名栗の男子部植林地から持ち出した材は、傷んでいた材もあった為、用いる材をさらに選別して加工を始めるまで時間がかかり、10月28日から本格的な作業となった。また、材の厚さや幅が均一でなかった為、設計図どおりではなく加工した部分どうしを合わせ、ずれが出ないよう確認しながらの組み立てとなった。作業はメンバー5人で行い、夜6時くらいから開始し、日によっては9時までの遅い時間に及ぶこともあったが、延べ20時間あまりかかって組み上げることができた。今後は設置の際、ベンチをしっかりと固定するためにブロックを埋め、設置する作業を3月上旬に行う予定である。
市役所の方との話し合い 安全面などへの配慮
2009年12月上旬に、東久留米市役所に学生代表2名が、学園町自治会長猪狩誠也氏と設置の要望に行った。当初は設置による治安への影響や、安全面で問題がある、とのことだったが、2010年1月に担当者が学園に来校されてベンチを見て下さり、安全面では動かないよう確実に固定すること、座面に仕切りを設けることの二点をクリアすれば設置してもよい、また治安の面では自治会の方の見守りがある、ということで許可をいただけた。
また、全木製である以上、老朽化は早い。その為、設置の期間は2年~3年とし、その後は回収・また新たなベンチを設置することにして次の世代へと「つなげる」活動を目指したいと考えている。
発展する学び その1 ―「森林」と「市民」を結ぶ―
今回のベンチ設置活動には、「自由学園と地域とのつながりをつくる」と共に、「森林と市民を結ぶ」という意義を見出している。森林や地域について学び、また考える為に実際の制作以外の活動もした。
2009年12月に、「森林(もり)と市民を結ぶ全国の集い2009 in TOKYO」が池袋・立教大学で開催され、学生2名が参加して日本の林業が抱える課題と今後の展望について、林業の最前線で活躍される方々のお話を伺った。またこの集いでは男子部も植林活動についての報告を行って、林業家の方々からよい反響を頂いた。
12月14日には、東久留米市南部地域センターの地域懇談会にも学生代表1名が参加し、地域の方々の声を直接お聞きした。
発展する学び その2 ―名栗・柏木氏を訪ねる―
2010年2月14日、名栗村元村長、前飯能市議会議員であり、健全な森林育成と森林文化の継承発展に尽力されている男子部19回生の柏木正之さんにお話を伺った。柏木さんは学園の植林を地元で支えて下さり、また都会の人の林業への参加・交流に尽力されており、とても貴重な経験となった。この日は、学園の名栗植林地周辺の別の山や、製材の際お世話になったカヌー工房、また森林と密接な関係がある川の上流域の施設等の見学も行い、非常に充実した一日であった。
今後は公園への設置に集中し、最終的な調整を行い、また4月末の報告書提出と5月8日の自主研究報告会へ向けてのまとめを行う予定である。
制作作業の様子
材の表面を電動カンナで削る 最高学部木工室にて
部品ごとに線を引き手で加工する この日は学部棟入り口で作業した
加工した部品 (左)脚 角度をつけて切るのに苦心した(右)座面
仮組み 各部品の長さ・角度を念入りにチェック
組み立て ボルトとビスを使って組み立てる
(左)ボルトを入れる (右)形が出来たベンチ 座り心地を試してみる
(左)ほぼ完成したベンチ (右)完成 座面に仕切りをいれ、角を落として仕上げた
文・写真:井澤夕里・橘 隼人(学部2年)