美術工芸展のはじまりは本降りの雨の中でした.それでも朝一番からぽつりぽつりとお客様がいらしてくださいました.多数のご父母の皆様や卒業生とお話することができました.また,4年前にもいらして,今年も来るのが楽しみでしたとおっしゃってくださったお客様が複数いらっしゃいました.
私も展示会場を朝・昼・夕と回りましたが,毎回新しい発見があります.準備風景から見ていて,さらに昨日の内覧会でもじっくり見たのに,まだすべてを見終えていません.大型の機織り機で連作をしていた3年生女子のふたりの作品は見事に仕上がっていました.

完成した染織作品
この作品のタイトルは「祝福」です.どうしてこういうタイトルなのか尋ねたところ,「卒業式や入学式の際に講堂のステージで使用していただくために織ったから」だそうです.1日7時間を3週間かけて織りあげました.図案作りには1ヶ月を,染めには6ヶ月を要したそうです.
次の作品は4年生による大きな日本画です.2年間かけて制作したそうです.

2年間かけて制作した日本画
彼女は屏風を作りたかったそうです.タイトルはフランス語で「Mise A Mort」です.意味がまた興味深いものでしたが,ここでは内緒にします.そういえば彼女は第二外国語がフランス語でした.
午後には,晴れ間こそ見えませんが,雨はあがりました.多くの来場者で学部の会場もごったがえしてきて,私は学生と話せなくなりましたが,寒い中を南沢まで足を運んでくださった皆様には本当に感謝です.

生活美術の作品
私は数学を教えていますが,この美術展を通して,学生のいつもと違う側面に出会うことができています.美術をご指導くださる先生方のおかげだと思いますが,美術専攻でない学生でもここまでできるのだなと感心しています.また,これだけのことができると人生も潤うだろうなと感じました.
美術工芸展は本日11月20日が最終日です.私はあとみっつ見ようと思っている作品があります.ご来場の皆様にとっても,何か新しい発見があれば幸いです.
文・写真:遠藤敏喜(学部教員)