長きに亘り自由学園の美術教育に携わってこられた日本画家滝沢具幸先生の退任記念講演が2月24日(土)に記念講堂で行われました。滝沢先生は作家としてご活躍されている一方、先生の師であった日本画家故吉岡堅二先生からのご紹介で1974年より自由学園で美術の指導にあたり、現在の生徒学生のみならず、多くの卒業生たちが先生に学びました。
講演では、先生が初めて自由学園を訪れたときのことやこれまで見てきた風景、また、師との思い出と画家になられるまでのいきさつについてお話ししてくださいました。そして、「何のために絵を描くのか?」という生徒からの質問に対し、「絵は直接なにかの役に立つものではありません。しかし、絵を描くということは自分の中を描くということ、それは自分を知る作業であり、自分を豊かにしてくれることです。また、描く事でそれまで見えていなかったものに気づくことができます。ものの中に潜む秘密を知ることは、本当を知るということです。」とお答えくださいました。
さらに、講演会に合わせてお借りした14点の作品を展示し、先生の絵を間近に見ることのできるまたとない機会となりました。先生のお話と作品から、その飾らないお人柄と自然を深く愛する姿勢を多くの人たちに感じとってもらえたのではないかと思います。
滝沢先生の存在の大きさを改めて感じるとともに、これまで自由学園の美術教育にご尽力くださったことへの感謝の思いはつきません。
文:河原弘太郎(美術講師)
写真:田中悠貴(学部2年)