4年課程卒業研究・2年課程卒業勉強の第1回中間報告会を開催しました/研究・実習 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

4年課程卒業研究・2年課程卒業勉強の第1回中間報告会を開催しました/研究・実習 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

研究・実習

4年課程卒業研究・2年課程卒業勉強の第1回中間報告会を開催しました

2017年7月25日

少し前の話になりますが,7月11日(火)午前中,4年課程卒業研究と2年課程卒業勉強の第1回中間報告会を開催しました.記念講堂を会場に行い,4年生と2年課程2年生が全員発表し,学部生と学部教員が聴きました.

今回の報告会では,それぞれの研究動機・背景,研究目的,研究計画が発表されました.時間の関係で質疑応答の時間は取れませんでしたが,アンケート用紙に聴衆が質問やコメントを書き,後日発表者が回答を書き込み,掲示板に貼り出すことになっています.これは昨年までにはなかった試みです.

4年課程卒業研究・2年課程卒業勉強の第1回中間報告会を開催しました

発表する4年生

4年生と2年課程2年生は,今後研究を進めて,年明けに卒業論文を提出し,年度末の3月3日(土)に最終報告会を開催します.9月末と12月末にも中間報告会を開催し,進捗を報告します.

以下に,それぞれの研究概要を,配布された予稿集から許可を得て,紹介します(報告順).

■4年課程卒業研究 数理モデルとインターフェイスゼミナール
Moodleを使ったe-learning環境の設計・構築・実践
オープンソースのe-learningプラットフォームMoodleを用いた学習支援環境を自由学園最高学部に構築することの是非を問う.実験から実践まで着手し,自由学園の教育風土に配慮した教育方法の開発を目指す.

裁縫の魅力を伝えるツールの開発
既存の裁縫手本を改善したデジタル手本を開発し,既製品を購入するだけではない,自分で手づくりする豊かな衣生活の実現に寄与する.

人はどのような写真に魅力を感じるのか
高度情報化社会における新しいコミュニケーションのかたちであるソーシャルネットワークにおける新しい感覚・感性の探求として,魅力ある写真とは何かを探求する.まずは,身近に存在するデジタルカメラやスマートフォンを用いて,素人でも短時間で汎用的な構図を決定できるよう支援を行う.

フランク・ロイド・ライトの建築思想における有機性の考察
建築家フランク・ロイド・ライトが提唱した“有機的建築”の思想は現代の環境でどのように実現されうるか.ライトの建築思想に基づいた制作物を自由学園南沢キャンパスでかたちにする.

新得共働学舎のアーカイブズ構築
新得共働学舎の設立から現在に至るまでの40年間の歩みをアーカイブズ化する.成果は新得共働学舎で来訪者に公開するとともに,今後も共働学舎内が継続的に記録を蓄積するシステムも整備する.

幼年絵雑誌『子供之友』のアーカイブズ構築
婦人之友社が発行した絵雑誌『子供之友』は,戦争の影響で廃刊を余儀なくされ,30年間で356号しか刊行されなかったが,挿絵も内容も,現代もなお注目されている貴重な資料である.自由学園図書館には現在そのうちの218号しか存在しないが,この全巻所蔵を目指すとともに,雑誌が呼びかけた子どものための生活教育の変遷を一望できるアーカイブズを構築する.

■4年課程卒業研究 人間形成と教育ゼミナール
共働による遊び空間の構築-自由学園初等部校庭における遊び空間の提案と実践-
本研究は,現在,子どもが外で遊ぶことが少なくなってきている中で,皆で「遊び込む場」とし小学校にどのような可能性があるかという問いをもとに遊び空間を作り上げていくことを目的とした研究である.3年次に行った遊びの基礎研究を踏まえ子ども達にとって遊び空間が重要であると考え研究に取り組む.研究を進めるにあたって初等部児童をはじめ,保護者や教員・学生と共に作り上げる空間を目指す.研究方法は,先行研究をもとに実践研究と実例研究に分かれ研究を行う.

■4年課程卒業研究 自然の理解と創造ゼミナール
土壌などの生育環境が野菜に及ぼす影響
野菜の生育には土壌環境の整備が必要不可欠である.一方,土壌に関する研究では未解明な部分もある.今回は「新天地内の実験圃場」を利用し異なる土壌環境で栽培することにより,生育環境が野菜に及ぼす影響を探る.

自由学園の養豚について-男子部の養豚における新たな飼育システムの考案-
自由学園男子部中等科3年生が行っている授業「産業」の養豚において,自由学園の特徴を生かした持続可能な飼育システムの考案を行う.

植物染色における抗菌性について
植物染色でできた製品は,抗菌,防虫作用があることが知られているが,未解明な部分もある.なかでも,藍染めで使われる藍草には菌に対して抑制効果のある成分が含まれていると言われ,野良着をはじめとする日用品として広く使われてきた.本研究では,抗菌,防虫作用について文献調査とそれに関した実験を行い,さらにこれらを活かしたものづくりができないか探る.

立野川から海へ繋がる荒川についての関係性
本研究では,自由学園内を流れる立野川と海へと繋がる荒川及び隅田川について取り上げる.立野川を中心に観察と調査を行い,河川の環境の変化の比較等について考察する.

ピザ窯の作成-ピザ作りにおいて最適な窯の条件を探る-
ピザを焼成する窯に対しては様々な条件が存在する.そこで,実際に実験を行い,容易かつ最適な条件とはなんであるかを探る.

4年課程卒業研究・2年課程卒業勉強の第1回中間報告会を開催しました

実際に校内で養豚を行う4年生

■4年課程卒業研究 環境と経済・社会ゼミナール
地域との持続可能な関係発展に関する研究-農と木の学びの新たな展開に向けて-
時代の変化とともに,これまでの「農の学び」「木の学び」の意味の再確認が求められている.東久留米市での小学生を対象とした農業体験や,新名栗活動協定による活動などを通して,現代社会における「農の学び」「木の学び」の価値を見出し,地域と自由学園の関係のさらなる発展を目指す.

■4年課程卒業研究 世界と日本の文化ゼミナール
“差別”・多様性・寛容-『表現の自由』を通して考える-
差別的とされる思想や発言に対する過剰なまでの非難や内容を理解しようともしないでの否定などするのはそれも一つの差別であると考える.差別問題の解決の方法などで一般的に語られる事は「寛容」や「多様性」という言葉である.そのように差別するのでなく,認め合う事を望むのであれば,差別的意見も認めるべきではないのだろうか.さらに実際には差別だと言い切れないのに,表面上だけで差別だと決めつけられレッテルを貼られると内容を吟味されずに非難される.それらのある種の差別への差別を「表現の自由」を通して考える.

SNSの一極化によって変わる娯楽の質と人間のあり方
SNSの普及化により,直接的に娯楽に触れる機会が減った.その為,娯楽である音楽や漫画などの文化が衰退していきている.文化の衰退が人間としての質の衰退につながっていくのではないかと考える.

太平洋戦争以前の女性実業教育-山野千枝子による美容の導入と実践-
女性の自立がどう考えられているかということを中心に,明治期の女性実業家人物研究から,女性の自立に関わる女性の職業や,それを支えたであろう女性実業教育を踏まえて,最初に挙げた問いに対する考えを独自に展開していく.

ポーランドのカトリック教会の役割-時代における違いとその変遷の考察-
ポーランドではキリスト教ローマ・カトリック信者が全人口の90%以上を占める.これは一度社会主義体制を経験した東欧の国のなかではとりわけ高い数字だ.それはポーランドの歴史の中で政治や文化の発展がカトリック教会と密接に関わってきたからだといわれている.本研究では社会主義時代のポーランドにおけるカトリック教会の役割を調査し,それが周辺の元社会主義国とどのように異なっているのか,またポーランドという国の歴史の中で教会が果たしてきた政治的影響などを考察していく.

茶道と日本の美的精神
歴史ある茶道が現代の日本にも残っており,海外にも認められるようになったのは,そこに日本人の美の意識があるからだ.茶道には日本人の変わらない美意識があると仮定し,茶道を通して日本人の美的精神,美意識を分析し研究する.

■4年課程卒業研究 ライフスタイルゼミナール
自由学園のブランディングに関する研究
ブランド戦略の評価と考察
自由学園の教育をより世の中に浸透させるために,自由学園のブランディングに関するグループ研究を行う.本研究では先行研究の再評価を行い,5年経過した今必要な戦略を導く.齋藤が導いた戦略をもとに,久保木,居石,中嶋が実際の商品や活動に落とし込みブランド構築の考察を行う.

オリジナルグッズによるブランド構築への貢献
自由学園の教育をより世の中に浸透させるために,自由学園のブランディングに関するグループ研究を行う.本研究では自由学園のオリジナルグッズとして学部生が日常的に着られる衣服をデザインし,学生の姿が広告塔となる自由学園のブランディングを考察する.

自然物を生かした製品によるブランド構築
自由学園の教育をより世の中に浸透させるために,自由学園のブランディングに関するグループ研究を行う.本研究では,自由学園の教育のひとつである美術教育(産業や美術・自然教育)を対象地域へ発信する手段として,自然物を生かした製品製作を実施,評価して自由学園のブランド構築を考察する.

地域における食を通したブランディング
自由学園の教育をより世の中に浸透させるために,自由学園のブランディングに関するグループ研究を行う.本研究では食を通した地域コミュ二ティ形成通して,ブランディングの施策を構築,自由学園周辺地域において試行し,体験型の自由学園のブランディングを提案していく.

■4年課程卒業勉強
女子部の夏用式服と衣服ノートのより良い在り方の提案
今年度の卒業勉強は,女子部の夏用式服と衣服ノートアプリの提案を通して,衣服に関する研究を行う.

文:遠藤敏喜(学部教員)
写真:田中悠貴(学部2年)

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