水文・気象観測室では6月20〜21日にかけて栃木県那須塩原市の自由学園那須農場に行き、観測露場のメンテナンスを中心に、井戸、水道、水路での定期的な観測や、周辺の湧水・河川の水質調査を実施しました。
観測露場のメンテナンスでは、新しい転倒ます型雨量計を設置しました。那須農場の露場は2008年に最高学部生が蛇尾川の治水対策を目的に設置し、以来気温、湿度、雨量等を自動観測していましたが、老朽化によりデータ取得が不安定になり、メンテナンスが必要な状況でした。しかしながらこの2年はコロナ禍で南沢と農場の往来が控えられていたこともあり、大幅に遅れてこの春から復旧に向けた調査と準備に着手しました。
4月12日、5月15日の活動で気温・湿度計の応急的な復旧を行い、こちらはオンラインでデータを再び閲覧することができるようになりました。今回は雨量計を一新し、未だオンライン化はできていませんが観測を再開しました。新しい雨量計は、周辺の草丈が伸びた際も、雨滴の補足が妨げられないよう、以前の位置より1m程立ち上げて設置することにし、そのための基礎工事も行いました。さらに、雨量計本体からホースでポリタンクと連結し、降水を貯水(サンプリング)できるように改造しています。これは後日降水中の溶存イオン物質を測定するためです。
井戸では定期的な地下水位・水質観測の他に、自動観測用の水温計を2台投入しました。井戸は深さが30m程度あり、水温計を井戸底と水面付近の2点に設置するためそれぞれ工夫しました。井戸底用はおもりをつけて安定させ、水面用は地下水位の変動に対応するよう浮きをつけて設置しました。
今後は百葉箱の修理などを進める他、南沢と同じくIoTに対応したシステムを導入していく計画です。安定的なデータ取得により、農場の酪農経営をはじめ、農場での高等科生や学部生の教育・研究活動にも資していきます。
文・写真:鈴木祐太郎(気象観測室リーダー・最高学部4年)・吉川慎平(環境文化創造センター長・最高学部教員)