2月4日、水文・気象観測室のメンバーによって実習圃場・新天地の中央にある百葉箱修繕作業が完了しました。
百葉箱は内部への自然通風を確保した白塗りの木箱で、中に温度計や湿度計などの気象観測機器が入っており、機器を直射日光、雨風や雪などから守るためにあります。新天地の百葉箱は、2011年12月に設置(職員と農芸グループの学生の手作り)されて以降、12年間気象データを計測し続けてきました。毎年、農芸グループにより塗装が行われて来たものの、特に屋根部分の老朽化が目立って来たため、今回修繕することになりました。
材料の木材を調達にあたり「ウッドショック」による価格高騰が影響が顕著であったため、入手可能な再利用材なども加えることにしました。修繕作業は、2022年9月から始まり、当初は冬休み前までに終わる予定でしたが、工作の時間の確保が難しく春までかかってしまいました。また、木材を寸法通りに切り、正確にネジを入れていく作業では、切る途中で切断面がまがってしまったことや、それにより元々の百葉箱とサイズが合わないなどのアクシデントが起こりましたが、何とか完成まで漕ぎつけることができました。組み立て後にペンキで白の塗装を施し、雨漏れ防止と汚れを弾く様に屋根の上面にシリコンを塗布しました。
気象データを計測する理由として、自分達を取り巻く環境を定量的に把握するという教育的な意味合いと共に、観測結果を活用し「予測を立てること」も目的の一つに上げられると思います。今回修繕した百葉箱のある新天地は学園の圃場なので、作物の栽培の際には気温などの情報も重要になります。また、現在地球規模での気候変動や気象災害が過激となり、以前にも増して気象観測の分野の重要性が高まっています。このことからも、キャンパスの環境のモニタリングを続け、それらのデータを活かした研究を今後も継続していければと思います。
学園のキャンパス・フィールドには5台の百葉箱がありますが、その内3台は水文・気象観測室が直接管理(その他は女子部と初等部)しています。今回の新天地百葉箱の修繕により、この3台をより耐久性を高めた形で修繕することができました。
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文・宮代 雅章(最高学部2年・水文・気象観測室)
写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター長)