7月26日,那須農場への雨量計再設置に引き続き,水文・気象観測室のメンバーで那須農場の水田脇に百葉箱を再設置しました.水田は農場から東方に1km程離れた接骨木(にわとこ)地区に位置しています.
雨量計の再設置についてはこちらをご覧ください.
2008年4月に設置された最高学部生手作りの百葉箱は,新型コロナウイルス感染症拡大により,農場への立ち入りを自粛していた間に経年劣化が進み,箱本体が台座から落下してしまいました.昨年夏にたまたま農場を訪れた気象観測室員の学生がそれに気付き,2022年4月12日に本体を回収し,南沢にて修理を行うことにしました.木材が朽ちてしまっていた屋根部分は新たに作り直し,雨漏りが無いようにシリコンでコーティングをしました.箱本体は汚れを高圧洗浄機で落とした後、ペンキを塗り直して床部分を修理,本体内部には観測機器を取り付ける架台を新設しました.昨今の世界的な「ウッドショック」の影響で木材の小売価格が高騰していることから,国産のスギ材をベースに古い部材も再利用するなどの工夫をしました.
再設置した百葉箱では,温度・湿度を10分毎に自動観測しています.この百葉箱は水田に隣接する接骨木街道からよく見える場所にあるため,設置当時,地域の方から「学園の田んぼらしい」といった声をかけていただいたとのことです.2011年の東京電力の福島第一原発事故以降中断していた,高等科生の那須農場の利用も今年度から一部で可能となり,最高学部生の自主活動をはじめ,教育・研究フィールドとして農場が活用される際にこうした気象データが利活用されることを期待しています.
那須農場には,搾乳牛舎脇にも露場があります.こちらの百葉箱も屋根部分の傷みが生じていたので,回収し修理を行うこととしました.この修理が完了すると,那須農場の気象観測機器の再整備が一段落します.
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【気象観測室】那須農場の水文・気象観測機器を復旧しました
文:小田幸子(最高学部教員・環境文化創造センター次長)・写真:吉川慎平(最高学部教員・環境文化創造センター長)