8月18日(月)の南沢キャンパスは、13:20に日最高気温37.7℃を記録する猛暑日となりましたが、夕方から天候が崩れ雷雨となりました。気象庁は17時にレーダーによる解析で、東久留米市付近で約100ミリの降雨があったとして記録的短時間大雨情報を発表し、ニュース番組でも取り上げられました。
翌日の19日(火)には、南沢キャンパス内で突風によるとみられる樹木等への被害も確認されました。環境文化創造センターが最高学部棟屋上に設置している気象観測システムのデータを解析したところ、降水量は1時間最大48mm、降り初めからの連続雨量は61.5mmと、非常に強い雨が降ったことが確認されました。加えて風は16:40に最大瞬間風速23.2m/sと、大型台風並みの非常に強い風が吹いたことが確認されました。気象庁の観測地点(アメダス)は東久留米付近には無いことから、近傍の練馬、府中、所沢地点を参照すると、同時間帯の最大瞬間風速6〜9m/s程度で、突風は東久留米市付近で発生した局地的な現象とみられます。

またデータから強雨・強風と共に、気圧が上昇している点、気温が低下(12℃弱)し湿度が上昇している点、風向が一定方向(北東)な点、これらの特徴から発達した積乱雲化で発生する破壊的な下降気流である、ダウンバーストが南沢キャンパス付近で発生したと考えられます。東久留米市内では目立った樹木等の被害がないという情報もあり、ダウンバーストの中でも水平的な広がりが直径4km以下のマイクロバーストと考えられます。
今回、気象庁のアメダスの観測密度では捉えられていない、局地的な気象現象を観測することができ、被害状況との関係などを迅速に分析することができました。今後も、東久留米市をはじめとした多摩北部5市・荒川水系支流の観測所として、地域での防災・減災など、さまざまな分野へのデータの利活用を進めていけたらと思います。
* 屋上露場の気象観測機器は全て「気象庁検定」を取得しています。
* 自由学園南沢キャンパス屋上露場における観測は、学校法人自由学園と株式会社フィールドプロの二者間で締結した「産学連携による共同研究包括協定」に基づき共同で実施しています。

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文:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター長)