例年、関西方面(伊勢・奈良・京都)と九州(知覧・水俣・長崎)に出かけていた最高学部の前期課程修了研究旅行は、現在の状況を考慮して中止とし、その代わりに日帰りで関東近郊で実施することにしました。クラスで出された3候補地(足尾銅山・日光、重監房資料館・草津、無言館・善光寺)の中から投票で決まった足尾銅山・日光に行くこととしました。感染防止対策として、旅行前後の健康チェックの徹底、往復を貸し切りバスにして2席1名での利用、訪問先の感染対策を事前に確認することなどの対応を学生リーダーを中心に運営しました。
この旅行は、日本文化の理解や社会問題について講義で得た知見と現地を訪問することを通して見聞を広めること、また前期課程を終える直前にクラスとしての交流を目的とした旅行です。今回、足尾銅山周辺では、吉川慎平先生に詳細な解説をしていただき、治水や公害問題の深刻さを学ぶことができました。また今市で創業400年の漬物・味噌店を経営されている上澤家の皆さんのお店を訪問し、活躍されている卒業生と交流できたことも、学生たちにとって有意義なものになったと思います。






(学生リーダーより)
12月2日(水)に実施した今回の研修旅行では、主に足尾銅山周辺と日光東照宮の2箇所を巡りました。
足尾銅山観光では、一部保存されている廃坑に入りながら、実際に行われていた掘削の様子やそれらの方法を見学しました。また、現在でも水汚染を止めるために稼働している工場や、下流への汚染水流出を食い止めるダムにも訪れました。
日本の産業革命のために良しとされていた銅の掘削作業は、結果として現代において公害問題として深く根を張っています。私たちが普段過ごしている周辺では見ることのない現実を目の当たりにし、今後どのように環境とそれらの問題に取り組んでゆくか考えるきっかけとなりました。
日光東照宮では、およそ400年前に建造されたとは思えない豪華な装飾や細かな造形に圧倒されました。また、貿易を行ったオランダやポルトガルから奉納された鐘などを見て、徳川家の権力の強さや積極的な外交を感じました。
学園に帰る前に、卒業生の経営されている上澤梅太郎商店によらせていただき、こだわりを持って漬物を作っている様子や苦労などを、実際の工程を見せていただきながらお話しくださいました。ショップでは皆たくさん買い物をして、とてもおいしくいただいています。
机上の学びだけではなく、実際に歴史ある場所を訪れることで、学生それぞれがさらに良い経験をできたのではないかと思います。
文・写真:咲花昭嗣・小田幸子(学部教員)