グローバル化の進展による国々の利害の衝突、地球環境への負荷の増大、急速なAI普及への期待と不安等、現代社会は様々な複雑な問題に覆われています。このような時代をよりよく生きるために注目されているものの一つがリベラルアーツです。
リベラルアーツとは何か。今なぜリベラルアーツが必要とされるのか。6月26日より3週連続で、自由学園最高学部で教鞭をとる3人の講師の方々に、それぞれの専門分野からお話しいただく公開オンライン・ミニレクチャーWhat is Liberal Arts?を開催しました。

各回お話しいただいた先生方とテーマは以下の通りです。
第1回6月26日 蟻川謙太郎先生「実験生物学者が見る世界の多様性」(総合研究大学院大学特別教授・執行役、理学博士)
第2回7月3日 木村秀雄先生「問いから始まる人類学」(東京大学名誉教授、自由学園リベラルアーツ学会会長、自由学園国際センター顧問)
第3回7月10日 西崎香先生「激動期にこそ羅針盤を」(元朝日新聞記者)
第1回目には小学生を含め40名の方々にご参加いただきました。
「蝶の視覚という切り口のお話しは知らないことばかりで、学生に戻ったような新鮮な気持ちで学べた」
「生物学を通して蝶の視覚のお話を聞き、人間の視覚にもリンクし、人も実はさまざまな見え方をしていたり・・・と、短時間で思考が膨らみました」
「生物、医学、哲学を交えて多面的に考えていくことがリベラルアーツなんだなぁと実感」
「夢中になって研究することが、〈生きること全体を学ぶ〉ことにつながるということ。リベラルアーツという学びについて、なんだかとってもわかった気がした」等々、ご感想をお寄せいただきました。
最高学部は、1949年の開学以来一貫して「自由に考え、よりよく生きる人=真の自由人」の育成を目指し、人間教育を行ってきました。 専門性に特化した教育によって特定分野の専門家をつくるのではなく、広く深く自己と世界を理解し、自分自身の頭で自由に考える力、自分自身の手で創造的に生活や社会を創り出す力を養い、どのような専門分野に進む場合にも必要とされる人としての大切な土台を築いてきました。
その教育の方法として最高学部では、キリスト教精神を土台とし、学問と生活を有機的・領域横断的につなぐ実践的な研究を重視しています。これは「自由学園型リベラルアーツ」として体系化されています。
一般的にリベラルアーツ教育は、文系・理系という枠組みを超えて、文学や哲学、心理学、経済学、数学、生物学、芸術等、人類の積み重ねてきた英知と文化に触れ、人間や自然、社会・世界を多角的・総合的に捉える視野を養う教育を意味します。
自由学園型リベラルアーツは、この総合的な学びを土台に、「いかに生きるか」という自身の人生観・人間観の軸を養うことを大切にしています。そして同時に、学んだ知識を自ら行動する実践力として体で身につけることを重視しています。これは「生活」を土台とし、生きた知識を身につける自由学園教育に一貫する立場です。
学生たちは領域横断的に様々な学問分野を学びつつ、地域、社会から世界へと活動フィールドを広げ、経験と知識を往還させつつ学びを深め、未知なる経験を通じて未知なる自分自身に出会いつつ成長していきます。