タネニハ BASE felice di filippoの描く未来/学部長ブログ - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

タネニハ BASE felice di filippoの描く未来/学部長ブログ - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

学部長ブログ

タネニハ BASE felice di filippoの描く未来

2025年9月8日

東久留米市南町にオープンしたばかりのタネニハの森カフェ&レストラン「felice di filippo(フィリッポの幸せな食卓)」に行ってきました。

持続可能な都市型農業の可能性を切り拓き、食・農・住を結ぶタネニハプロジェクトを推進する秋田茂良さん・小森妙華さんご夫妻には、自由学園の生徒、学生たちもお世話になっています。

お店に入る前、まず美しい前庭と木造の建物が素晴らしくワクワクしました。店内では立派な木を活かした高い天井や広々としたテーブル、大きな窓から差し込む明るい光が開放感を生み出し、自然の中に包まれるような安心感が感じられました。その随所から、人と自然が美しくつながる豊かな文化を生み出したいという思いが伝わってきました。

この日は思いがけず小森さんに熱いお話しを伺うことができました。

レストラン運営で連携しているのはPIZZERIA GTALIA DA FILIPPOさん。世界ナポリピッツァ選手権で第1位になった名店で、自由学園の卒業生も働いている馴染み深いお店でした。

食材には裏の農場で育てた野菜や近隣農家さんの野菜を積極的に使っており、誰もが参加できる環境再生型の農業体験も行っているとのことでした。

庭の木々は30年後の森の姿を思い描いて植えたという息の長いお話にはびっくりしました。羽仁吉一先生が、植林地に出かける生徒たちに「30年後、君たちが48歳になった時にこの木で校舎を建てる」とおっしゃった言葉を思い出しました。

中でも素晴らしいと思ったのは、庭に突き出したウッドデッキと屋外かまどについてです。このかまどは、通常は豊かな食の体験を創造し、災害時には地域を支える場として活用できるはずというお話しでした。小麦の蓄えがあり、井戸水と庭での調理設備があれば、それが可能とのことでした。

また道路を挟んだ向かいの土地には、木々の中に共有スペースを持つ住宅地を構想中とのこと。この構想には最高学部の講師でもあるHITOTOWAの荒昌史さんも関わっているとの嬉しいお話も伺いました。

東京での参加型の環境再生型農業への取り組み、30年後の森、災害時の支援スペース、共有地を持つ住まい等々。まさに食と農と住を通じた未来の地域づくりのモデルであると実感しました。

この日、私たち学部教員4人は、白梅学園大学に小玉重夫先生をお訪ねし、探求的な学びや組織運営における「リゾーム型」アプローチの価値についてのお話を伺った帰り道でした。

「リゾーム」はドゥルーズとガタリが『千のプラトー』(1980)で示した概念で「根茎」を意味します。上下の秩序が明らかな「ツリー型」に対して、地下で豊かに複雑に絡まり、相互乗り入れ的に拠点を作りつつ縦横無尽に広がり続ける有機的生命体のイメージです。

複雑化し先が見えないと言われる時代には、個々人の生き方においても、組織のあり方においても、さまざまな問題関心や人々が結び付き、それらのつながりの中で新たな価値が生まれるリゾーム型の発想やネットワークが求められるといえます。

小森さんのお話しは、このような点でまさにリゾーム的な広がりが感じられるものでした。

理想とする世界を身近なところから一つひとつ楽しげに形にしている姿を目の当たりにして、たくさんの刺激をいただきました。小森さん、Uさん、スタッフの皆さん、お仕事中の対応ありがとうございました!今後ともよろしくお願いいたします。

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