大芝生での体操発表に向けて地下水位情報を共有する/研究・実習 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

大芝生での体操発表に向けて地下水位情報を共有する/研究・実習 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

研究・実習

大芝生での体操発表に向けて地下水位情報を共有する

2020年10月29日

最高学部のフィールドサイエンスゼミでは,2018年度から南沢キャンパスの低地部(新天地・大芝生・テニスコート)の地下水流動について調査・研究を行なっています.低地部は元来地下水が集まり易い環境にあり,大芝生では地表面から僅か1m下に地下水の水面があります(地点,季節により変動).近年の豪雨や連続降雨時には土壌中に浸透した雨水により地下水位が上昇し,芝生面から湧き出した場合(自噴状態),一部が浸水するようになりました.

共有した地下水位状況の資料
共有した地下水位状況の資料
芝面から地下水が自噴(2017年)
芝面から地下水が自噴(2017年)

2019年度の体操会は台風19号の影響で,直前に300mm近い降雨があり,当日は晴れましたが地下水が自噴した影響もあり中止となりました.フィールドサイエンスゼミ所属で,体操会の常務リーダーとして準備に当たっていた当時3年生の齊藤将也さんは,こうした経験から次年度の体操会に向けて大芝生下の地下水位のモニタリング体制の構築に取り組むことにしました.

2020年8月には環境文化創造センターの支援と,大芝生を管理する女子部の協力のもと,芝生の周囲7箇所に観測井(深さ2m程度)を設置し,地下水位の観測を可能にしました.今年の体操発表予定日(10月10日)に向けては,大芝生使用の意思決定等に活用してもらうべく,頻繁に地下水位を観測し,体操担当教員をはじめ学部生と全教職員向けて,初めて逐次的な情報共有を実施することができました.結果として昨年度のような大雨には見舞われず,地下水位上昇による大芝生コンディションへの影響は回避されましたが,予定日の10日,予備日の17日とも雨天となりました.

大芝生への観測井の掘削・設置
大芝生への観測井の掘削・設置
設置した観測井の水準測量
設置した観測井の水準測量

齊藤さんは次のように話します.「大芝生は学園にとって重要な場所であり,地下水の問題も含め全校で課題を共有し考えて行けたら良いと思います.今回のような情報共有を通じて,生徒・学生に少しでも大芝生を取り巻く地下水の状況について興味を持ってもらえればと考えています.大芝生周辺の地下水流動については未だ未だ分からないことが多く,今後もデータを収集し対策等の提案に活かせたら良いです」

現在も週1回の観測を継続している他,数カ所の観測井に自動水位計の設置を進めており,データは今後の対策案の検討等に活かしていく計画です.またこうした成果の一部は11月の日本地下水学会での発表を予定しています.

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文・写真:吉川 慎平(学部教員)

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