学部教員が日本緑化工学会大会で発表/研究・実習 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

学部教員が日本緑化工学会大会で発表/研究・実習 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

研究・実習

学部教員が日本緑化工学会大会で発表

2021年9月4日

9月4日から12日までオンラインで開催されている第52回日本緑化工学会大会で,学部教員の小田が「キャンパス内毎木調査結果の分析と樹木管理方針の検討」,同じく吉川が「既存キャンパス内毎木調査データの空間的可視化と活用の可能性」と題して発表しました.この研究にはフィールドサイエンスゼミの学生も参画しています.昨年に引き続きWeb掲示板を用いたオンライン形式で,発表動画を掲載するスタイルでの開催となりました.

 

吉川の発表スライド

 

小田の発表スライド

 

内容は最高学部の生活経営研究実習 庭園・自然環境:樹木グループが受け継いでいる「樹木調査」と呼ばれる,南沢キャンパス内の毎木調査の取り組みについてです.本調査の前進は1956年にはじまり,以後10年毎に生徒・学生・教員の手により校内の樹木の種類,個体数などを定期的に調査しているものです.1996年からは方法が統一され,最新の調査は2016年です.今回は現在樹木グループを担当している小田が,比較可能な最近20年の種数・個体数の変遷を中心に,データからみえる樹木(環境)の変化と今後の樹木管理の方向性について発表しました.吉川は、長年紙ベースで管理されていた樹木の位置図を,GPSとGIS(地理情報システム)を活用し,空間的に可視化した試みについて発表しました.GPSによる樹木の位置の特定・整理作業も2017年と2018年の樹木グループの学生が担当しました.
GISによる空間的可視化の一例として,図-1は校内の大径木1,154本をプロットし,プロットの色は常緑・落葉の別を示し,プロットの大きさは胸高直径を示しています.また図-2は校内の2016年調査における個体数上位5種(イロハモミジ,アカマツ,シラカシ,ケヤキ,サクラ類)の分布と樹種をプロットの色で示しています.GISを用いることでこうしたマップの作成が容易になります.

 

図-1 GISによる校内の大径木1,154本のプロット(常緑/落葉の別,胸高直径を表示)

 

 

図-2 GISによる校内の大径木の個体数上位5種のみの表示

 

これまでも調査毎に学内の報告会や『学園新聞』,『自由学園年報』で結果は示されて来ましたが,学会での発表ははじめての試みです.今回の成果は,今後の校内の樹木管理にも資する他,様々な教育・研究の基盤になるものです.また今後,樹木グループを中心に生物等の授業・講義でも活用できる副教材として,学園内の「樹木マップ」や「樹木ハンドブック」の製作も構想されています.

2016年の詳細な報告は、今秋発行の『自由学園年報 第25号(2021)』に掲載予定です.

 

文・写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター研究員)

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