2022年3月9日にオンラインで開催された令和3年度土木学会関東支部技術研究発表会で、フィールドサイエンスゼミ所属の鈴木祐太郎さん(4年生)が研究グループを代表して口頭発表しました。タイトルは『平成の名水百選「落合川と南沢湧水群」周辺の表流水を対象とした基礎的水文調査』です。
本研究では校内を流れる立野川を含む落合川水系の7地点で、22ヶ月(回)に渡って実施した流量観測データから、各水系ごとの流量比や変動特性を明らかにし、そこから地下水の起源である降雨との関係性について考察したものです。またタンクモデルという簡易の流出解析を試みた結果についても示しました。こうした専門的な部分は鈴木さんが今年度ギャップイヤーを取得し時間をかけて学んできたことの一部です。
鈴木さんは今回の発表のポイントについて「東久留米市は武蔵野台地周辺でも特に湧水が豊富な地区です。しかし、地下水の起源である降水を集めている範囲(背後流域)については、特定されていません(通常は地表地形に準じますが、武蔵野台地は平野であるため)。そこで本研究では、湧水の保全に資する情報の獲得を目的に、落合川水系の流量変化を実測しその応答特性を捉え、既存のモデルを利用して、背後流域を逆推定するというアプローチを試みました。今回は途中経過として、公表されている落合川の流域面積では、これ程の湧水量を獲得できないことが明確であることを示したものです。今後は更なるデータの蓄積と、モデルの精度向上を目指していきたいと思います」と話していました。
また同セッションで教員の吉川も『全国のダムにおける「ダム湖の島」の存在実態に関する網羅的調査』と題して発表しました。
文・写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター研究員)