卒業研究の成果を学内に還元(1)-西川橋の維持管理/研究・実習 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

卒業研究の成果を学内に還元(1)-西川橋の維持管理/研究・実習 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

研究・実習

卒業研究の成果を学内に還元(1)-西川橋の維持管理

2022年3月13日

2021年度のフィールドサイエンスゼミの卒業研究の中には、学園の運営に直結するテーマが複数ありました。

宮代安希子さん(4年生)が取り組んだテーマは「自由学園における実習圃場「新天地」の施設設備の改善に関する研究」で、その実践の一つとして新天地内の立野川に架かる橋の架け替えを水路敷の管理者である東久留米市の了解のもと2021年4月から7月にかけて実施しました。木橋に使用したヒノキ材は、自由学園名栗植林地で70年かけて育てられたもので、2021年2月〜3月にかけて、林内の作業道開設のために切り出されたものです。当地の木材は、江戸の西方より筏流しで木材を運搬したことから、「西川材」と呼ばれており、この橋は「西川橋」と命名されました。
通常山から切り出した原木(丸太)を木材と使用するためには、反り等を防止するため自然乾燥または人工乾燥により水分量を調整する必要がありますが、今回は屋外で使用する部材のため、使いながら乾燥・調整することとしました。また木組みには、将来的なリサイクルに適するよう釘やネジなどの金物を一切使わず、木ダボを使用しました。

開通から半年が経過した2月頃、木材が乾燥し収縮が進んだため、木ダボ部分に緩みが生じ若干のガタツキが出ました。そこで卒業研究報告会も終わり卒業式を間近に控えた3月7日、緩んだ天板を取り外し、清掃した後、独自に配合したボンドを注入して安定化させる補修作業を行いました。この作業には下級生も参加し、今後は彼らが維持管理を受け継いでいくことになります。

 

天板を一旦取り外し打ち直す
卒業研究に関わる一連の作業を終えて

 

またフィールドサイエンスゼミでは、学内各部署との連携を強化しており、今回の卒業研究を通して実践した橋の架け替え、古井戸再生、浸透枡の設置などの成果について、学園の施設・設備の管理を担う総務部、キャンパス・マネジメント本部の関係者とオンラインで共有する機会も持ちました。

自由学園のキャンパスは生徒・学生にとって最も身近な生活実践・研究実践の場で、様々なポテンシャルが秘められています。今後も各方面の協力を得ながらより良い環境づくりを目指した実践的研究を展開していきたいと思います。

 

オンラインでの総務部、キャンパス・マネジメント本部メンバーとの共有

 

関連記事はこちら:
卒業研究の成果を学内に還元(2)-校内樹木管理アプリの実装

 

文・写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター研究員)

カテゴリー

月別アーカイブ