2023年9月14日から15日に広島大学東広島キャンパスほかで開催された土木学会全国大会第78回年次学術講演会で,学部教員の吉川が研究グループを代表して口頭発表しました.発表題目は「溶存イオン濃度が低値を示す矢作川流域の河川水に関する追跡調査」です.
今回は河川水中の溶存イオン濃度が全国的に見ても低値を示す矢作川(愛知・岐阜・長野の3県に跨る一級水系)について,2017-18年にかけて実施した,流域全体176地点に及ぶ大規模水質調査から5年が経過したことを受け,2022-23年に大同大学と共同でフィールドサイエンスゼミの学生も参加し実施した追跡調査の結果を示しました.流域の山間部を中心に急速に進行している人口減少の実態も併せて示し,こうした人間活動の縮小が中長期的に河川水質を変化させる可能性があること,その点でこうした流域全体を対象としたモニタリング調査を継続させていく必要性についても言及しました.
国連の持続可能な開発目標(SDGs)でも掲げられている「海域の豊かさ」と「陸域の豊かさ」をつなぐこうした「水の循環」に関するテーマについて,河川・流域をキーワードに今後も研究を推進していきます.
文・写真:吉川慎平(最高学部教員・環境文化創造センター長)