最高学部のフィールドサイエンスゼミでは、2018年度から南沢キャンパスの低地部(新天地・大芝生・テニスコート)の地下水流動について調査・研究を行なっています。キャンパスの低地部は元来地下水が集まる環境にあり、大芝生では芝生面から僅か1m下に地下水の水面があります(地点、季節により変動)。近年の豪雨や連続降雨時には土壌中に浸透した雨水により地下水位が上昇し、芝生面から湧き出した場合(自噴状態)、一部が浸水するようになりました。2019年度の体操会は台風19号の影響で、直前に300mm近い降雨があり、当日は晴れましたが地下水が自噴した影響で芝生のコンディションが整わず、結果として中止となりました。こうした状況を受け、環境文化創造センターの支援と大芝生を管理する女子部(当時)の協力のもと、大芝生の周囲12箇所に観測井を設置し、2025年9月末まで毎週モニタリング調査を行って来ました。


今年度も、2021年度に発足した最高学部生による「自由学園水文・気象観測室」が、10月11日(土)の体操会に向けて観測した結果を、10月9日に学園長、体操会常務組織、大芝生を管理する高等部、キャンパスマネジメント室に報告しました。今回は9月中旬以降まとまった降雨がなく、地下水位は低下傾向にあり、当日まで降雨予報もないため、地下水上昇による芝生のコンディションへの影響は心配されない状況と判断できました。

このような情報共有の体制は、今回で6年目となりました。学内での認知も向上し、問い合わせや感想などをもらえるようになりました。今後も体操会の開催可否の決定に資する情報提供を行うとともに、こうした機会を通じて、キャンパスを取り巻く地下水環境について興味・関心を持ってもらえればと考えています。
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文・写真:吉川 慎平(環境文化創造センター長・最高学部教員)