【気象観測室】今年度も体操会に向けて大芝生の地下水位情報を共有しました/研究・実習 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

【気象観測室】今年度も体操会に向けて大芝生の地下水位情報を共有しました/研究・実習 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

研究・実習

【気象観測室】今年度も体操会に向けて大芝生の地下水位情報を共有しました

2021年11月19日

最高学部のフィールドサイエンスゼミでは,2018年度から南沢キャンパスの低地部(新天地・大芝生・テニスコート)の地下水流動について調査・研究を行なっています.低地部は元来地下水が集まり易い環境にあり,大芝生では地表面から僅か1m下に地下水の水面があります(地点,季節により変動).近年の豪雨や連続降雨時には土壌中に浸透した雨水により地下水位が上昇し,芝生面から湧き出した場合(自噴状態),一部が浸水するようになりました.
今年度は,フィールドサイエンスゼミに加えて,新たに発足した最高学部生の自主活動グループ「水文・気象観測室」が体操会(11月3日)前の直近1週間の傾向から,当日のコンディションを予測し全校に事前共有しました.

 

共有した地下水位状況の資料

 

芝面から地下水が自噴(2017年)
芝面から地下水が自噴(2017年)

 

2019年度の体操会は台風19号の影響で,直前に300mm近い降雨があり,当日は晴れましたが地下水が自噴した影響もあり,結果として中止となりました.そうした状況を受け,フィールドサイエンスゼミでは次年度の体操会に向けて大芝生下の地下水位のモニタリング体制の構築に取り組むことにしました.環境文化創造センターの支援と,大芝生を管理する女子部の協力のもと,2020年8月に大芝生の周囲7箇所に観測井(深さ2m程度)を設置しました.2020年度はこれらのデータを利用し,初めて体操会に向けて大芝生の地下水位の状況を全校に事前共有することができました.結果として地下水位の影響はありませんでしたが,予定日,予備日とも雨天となり中止になりました.

今年度は4月に5箇所の観測井を追加設置し,全12箇所へと増設(大芝生全域に拡大)する作業が完了し,地下水位をより詳細にモニタリング可能にしました.結果として体操会が11月にずれ込んだこともあり,直前にまとまった降雨もなく,地下水位は低位安定傾向にあることから,地下水による大芝生コンディションへの影響はないと予測しました.この結果は大芝生使用の意思決定等に活用してもらうべく,体操会担当教員をはじめ全教職員と学部生に向けて,情報共有を実施し,11月3日には予定通り体操会が開催されました. 

 

大芝生への観測井の掘削・設置

 

設置した観測井の水準測量

 

現在も大芝生をはじめ校内の観測井では,週1回の観測を継続している他,大芝生の3箇所の観測井には開発した自動水位計を設置しており,次年度は地下水位の状況についてリアルタイムでの遠方・遠隔監視が可能になる見通しです.蓄積されつつあるデータは今後の対策案の検討等に活かしていく予定です.また水文・気象観測室では地下水以外にも学部棟屋上や女子部露場の気象観測,観測機器のIoT化,観測したデータの整理・活用を行なっています.

 

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文:鈴木祐太郎(水文・気象観測室リーダー・最高学部4年)
写真:吉川 慎平(最高学部教員)

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