学部4年 国際学会を終えて/学生生活・学外活動 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

学部4年 国際学会を終えて/学生生活・学外活動 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

学生生活・学外活動

学部4年 国際学会を終えて

2008年7月22日

学部生の国際会議口頭発表7月20日に総合演習「数理情報」所属の最高学部4年の安齋達彦、高橋仁穂の2名が国際会議の口頭発表を終えて帰国した。

発表は、7日に安齋がオランダのユトレヒト大学で開催された 23rd International Workshop on Statistical Modelling (IWSM) で、18日に高橋がアイルランドのダブリン大学で開催された 24th International Biometric Conference (IBC) で行った。


移動行程は次の通りである。7月5日に日本を出発し、オランダ、ユトレヒトのホテルに到着した。6日に指導教員である島津秀康先生(Geoscience Australia所属)と合流し、オランダには12日まで滞在した。その間IWSMは7月7日から11日の5日間開催され、安齋は当学会初日の発表であった。その後12日に3名はオランダからアイルランド、ダブリンに移動し、ホテルに宿泊。学会期間は14日から18日の5日間であった。高橋の発表日18日は学会の最終日にあたり、発表日の午後には学会の閉会式を行った。そして19日に安齋、高橋の2名はアイルランド、ダブリンを発ち、アムステルダムを経由し、20日朝日本へと到着した。全行程16日間の旅行であった。
  学部生の国際会議口頭発表   学部生の国際会議口頭発表
   (左)島津先生と合流   (右)ユトレヒト大学にて

ユトレヒトで開かれたIWSMには全世界から約80人の研究者・学生が集まり口頭発表・ポスター発表を行った。その中で日本から参加したのは我々のみで、特に学部(学士取得前)の学生による発表は口頭・ポスター含め、安齋の発表のみであった。安齋の発表は本番前コンピュータに若干のトラブルがあったものの、無事終えることができ、世界の研究者から提案やコメントをいただくことができた。

ダブリンで開かれたIBCは生物計量関連の学会において世界最大の学会であり、全世界から口頭・ポスター含め800以上の発表が集まった。こちらは日本からの参加もあり、日本の学生においては大学院博士課程の学生で、ポスター発表に数名参加していた。他国からポスターに学部の学生が発表を行っていたようであるが、口頭発表には高橋のみの参加であった。世界最大規模の学会であるので同時に6会場に分かれ、それぞれ別の内容の発表が走る形式で行われ、約60人の聴衆に発表を聞いていただくことができた。高橋の発表は学会の最終日だったこともあり、現地についてからも手直しをして発表に臨んだ。こちらも無事発表を終え、質問時間においては、さまざまなコメントをいただいた。
  学部生の国際会議口頭発表   学部生の国際会議口頭発表
   (左)安齋の発表   (右)高橋の発表

学会期間中はどちらの国際会議ともパーティーや、コーヒーブレイクなど研究者それぞれが会話を持つ時間が非常に多く準備されており、安齋、高橋も慣れない英語を使いながら多くの研究者とコミュニケーションを持つことができた。その中には研究に対して個人的にコメントをいただくこともあり、非常に有益な時間であった。その土地の歴史を味わうツアーなども学会に含まれており、発表内容だけでなく教養を深めることのできる内容であった。そのツアーでリフレッシュし、その後の会議にも集中して臨むことができた。
  学部生の国際会議口頭発表   学部生の国際会議口頭発表
   (左)コーヒーブレイク   (右)研究者と仲良くなる

また移動日や、全行程中2日間はそれぞれの国の観光も行うことができた。特にアイルランドではトリニティーカレッジに蔵書してある、世界最高の装飾を施された聖書といわれるケルズの書の見学、またギネスビールの工場では統計学の発展に非常に貢献したゴセットの展示品を見学するなど非常に充実した16日間であった。
  学部生の国際会議口頭発表   学部生の国際会議口頭発表
   (左)ダブリン大学にて   (右)ギネスビール工場にて

今回の学会発表を通して、個々の研究の進展だけでなく、世界の統計研究の一端に触れることができ、自分の研究がどのような位置にあるのか、我々の研究にはどのようなアイデンティがあるのかを再認識することができた有益な期間であった。またそれぞれの研究テーマで扱っている、全国友の会生活時間調べデータ、男子部で長年続けられているバードセンサスデータに対しても有益な結果の一つとなったと信じている。

宿泊費、学会参加費、渡航費など学会参加のための諸経費は、自由学園国際交流基金から20万円、自由学園協力会から20万円、そのほか父母会や教職員からの寄付金により、最終的に全額をまかなうことができた。短期間の寄付金のお願いにもかかわらず、大変に多くの方々の協力をいただくことができ、金銭面の心配をすることなく準備することができ大変感謝している。金銭面だけでなく、発表準備にご協力くださった先生方にもこの場を借りて感謝申し上げたい。

以下に安齋、高橋それぞれの感想を掲載する。

安齋達彦
今回、私は当然のことながら、学会発表は初めてであり、ましてや海外の発表で英語での発表など夢にもみたことがなかった。加えて海外旅行も初めて、飛行機に乗るのも初めてという初めてづくしの学会発表であった。7月5日に成田空港を出発し、学会初日の7日に発表であったので、旅の緊張と発表の緊張とあいまって本番前は非常に緊張し私より前の報告者の内容はあまり覚えていない。本番前にはコンピュータトラブルなどもあり、非常にあわただしく本番を迎える形になってしまった。しかし実際、司会者に紹介をしていただいて話を始めると、意外に緊張は抜けていった。プレゼンテーションに関する練習や、リハーサルなど準備に費やす時間が多かったために、自分のペースがすぐにつかむことができ、流れに乗って話すことができたのではないかと感じている。話の後には2人の方からコメントをいただくことができ、発表後もさまざまな提案や、議論を行うことができた。

この発表で、さまざまな議論ができたことは非常に大きな収穫であったと感じるが、そのほかでも大きな収穫を得たのではないかと感じている。それは統計学の世界というものを垣間見られたのではないかということである。一つには世界の統計学者たちが今いったい何を研究しているのかという視点からである。当然大きな学会には一流の研究者が集まり、発表を行う。世界のトップレベルの人たちはいったい今どんなことを考えているのか、そんな視点が与えられること自体新しい経験だったように思う。

その一つの例としてアイルランドでは世界最大規模の学会であったために特別講演として数学の貢献のためにknightの称号を受けているSir. Coxの話を聞くことができた。現代の数学会を引っ張ってきた研究者であり大変な数の論文を書き、大きな業績を残している人物である。この学会に行かなければこの有名人の話も聞くことがなく、おそらく統計学を勉強していく上では避けて通ることのできない人物であろう人間なので大切な体験であったのではないかと考えている。
  学部生の国際会議口頭発表   学部生の国際会議口頭発表
   (左)学会の様子   (右)Sir. Coxの講演

また、日本の先生方とも知り合うことができ、さまざまな方と人脈を作ることができた。一流の先生方のところには一流の先生が集まり、そこにはいろいろな情報が集まり、最新の議論を行うことができる。それも大変新しい視点であったのではないかと感じている。

今振り返る限りでも得たものは多くこれからの研究、勉学に役立つような経験を多くすることができたと強く感じる。まだまだ勉強をし、知識を深め、研究も進展させなければ、という強い思いに駆られるよい機会であった。
  学部生の国際会議口頭発表   学部生の国際会議口頭発表
   安齋の発表の様子

高橋仁穂
私は今回の国際会議発表で多くの学びを得た。それは発表のみに限らず、発表の準備や海外の学会参加などの中で感得したものであった。私の研究は男子部で1963年から記録され続けているバードセンサスの記録を対象としたもので、今回の報告をするために時間をかけて、このデータの解析を行った。この研究の中で私は自由学園で行われている記録の重要性を感じ、その上に立つ学びのすばらしさを知ることができた。

私にとって海外への旅行も学会発表も初めてであり、すべての体験が新鮮であった。この体験は自由学園の学生としての私においても、自由学園を巣立つであろう私においても見聞を広める結果となった。

発表を終えて、参加者の方からいただいたコメントや、体験の中で研究や自分の中における課題も多く浮彫りとなった。これも発表を行った上での成果と受け止め、今後も精進していきたい。

また今回の発表は自分の力だけでは達成できなかったものである。多くの方々の指導、援助、協力の上、実現できた。その方たちに感謝をすると同時に国際会議で発表ができたこと、無事に旅を終えられたことを神様に感謝したい。
  学部生の国際会議口頭発表   学部生の国際会議口頭発表
   高橋の発表の様子

学部4年 国際学会にむけて

文・写真:安齋達彦・高橋仁穂(学部4年)

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