学部生2名が形の科学会で発表/学生生活・学外活動 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

学部生2名が形の科学会で発表/学生生活・学外活動 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

学生生活・学外活動

学部生2名が形の科学会で発表

2009年11月23日

形の科学会で発表獨協医科大学で開催された「第68回形の科学会シンポジウム かたちが生みだす機能、機能を発揮するかたち」において、11月21日に、学部4年の吉永敦くんと渡邉真悠子さんが、それぞれ20分ずつ研究成果を口頭発表した。
今年度、「数理モデルとインターフェイス」ゼミナールの4年生は、「教育現場におけるインターフェイス」というテーマのもとで研究を進めているが、本発表は、9月の教育工学会に引き続き、ふたつめの学会での研究発表となる。
今回のシンポジウムは、テーマ設定と主催の影響で、医学系の先生方が多かったが、2人の学部生はしっかりと研究成果を発表することができた。質疑応答では、さらには発表後にも、多くの質問やコメントをいただき、学会を盛り上げていた。専門性の高い数学的発想に基づく幅の広い着眼で、自由学園らしい知見を社会に発信した。


吉永 敦
形の科学会で発表(吉永)私は、ゼミを通じて社会ネットワークや複雑ネットワークの理論を勉強してきました。今回、それらの理論を、学校における学生のグループ形成メカニズムや、それとネットワーク全体の強度との関係を説明することに応用させました。とくに、自由学園で伝統的に行われている「家族」や「委員会」のあり方、すなわち全員が交代で順番に機会や責任を担うグループ形成のあり方が、集団を2極化させない大きな要因になることをシミュレーションを通して数学的に示し、教育現場における有効性を主張しました。
今回の発表で私にとっての一番の課題は、いかにわかりやすく伝えるかということでした。今回のシンポジウムには様々な分野の専門家の方がいらしており、数学的正確さを保ちつつわかりやすくするには、多くの努力が必要であり工夫が必要でした。しかし、この「わかりやすく伝えること」について注意したことで、自身の理解をさらに深めることができ、あわせて論理構成の技術や聞き手がどう思うかを感知する力が養われたと思います。また、今回の発表を機に、研究結果や考察が他の分野の専門家の方には異なった受け止められ方をすることがよくわかり、改めてどのような側面で有用か、必要性があるかを詰めなおさなくてはいけないと感じました。また、他人に誤解なく伝えることの難しさも感じ、さらに発表方法を改善しなくてはいけないと感じました。今回、学会に参加させていだたいたことは、研究を大幅に進捗させる機会となりました。卒業後の進路においても、とても価値のある経験であったと捉えています。このような機会を与えてくださったことに深く感謝申しあげます。
渡邉 真悠子
形の科学会で発表(渡邉)私は、教育活動を論理的に表現することで、その特徴を抽出する方法を研究しています。それは、私がこれまでの生活のなかで感じてきた自由学園の教育のよさをわかりやすく説明するためです。研究を進めるなかで、教育における核となる思想が文章やスピーチなどの言明により継承されていくことが多いことに注目しました。そこでそれらの言明のデータを可視化する方法を探究しました。今回の学会では、データに表れる単語の出現頻度や単語同士の共起関係をネットワークによって図示する方法について述べてきました。また、KeyGraphというアプリケーションソフトを用いて、実際に、創立者の著作、学園新聞に掲載されている学園長の入学式・卒業式のスピーチ、学生が卒業式で読む「卒業に際して」のデータをネットワークとして図示し、その分析結果について述べました。今後は、自由学園において、建学の精神の継承が確かになされているということを、創立者の著作『教育三十年』や、読書の感想やレポートなど学生の文章などから見出せるかどうかを研究しようと思っています。
学会では、多くの皆様に関心をもっていただくことができ、今後の研究の励みになりました。また、今回の発表を通して、卒業研究にひとつの区切りをつけてまとめることができたのはよかったです。卒業まで残り4ヶ月ですが、最後まで生活も学問も悔いのないように頑張りたいと思います。最後になりましたが、今回の発表は、決して私ひとりの力ではでき得ないものでした。連日遅くまでスライド作成とリハーサルにつきあってくれたゼミの同級生をはじめとする多くの方々に心から感謝しています。また、データを提供してくださった学生や先生方にもこの場をお借りしてお礼申しあげます。
第68回形の科学会シンポジウム かたちが生みだす機能、機能を発揮するかたち
学部生2名が日本教育工学会で発表

文・写真:遠藤敏喜(学部教師)

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