立野川の流れる学園の大芝生のある面と上の面は10mほどの高低差があるが,下の面は5万年ほど前に多摩川が流れていた名残りの面である.GIS(地理情報システム)で標高図を作成すると過去の地形が浮かび上がってくる.
GISにより杉原作成
立野川の源流部(学園より約2km)は,現在,向山緑地公園となっている.立野川の水源となる湧水と北斜面の樹林地が一体となって残っている.水温が一定の湧水は寒冷期の植生を維持してきた可能性がある.一方で縄文遺跡もあって,古くから生活にも使われてきており,江戸時代からは農家の薪や堆肥のヤマとして維持されてきた場所である.学園もその地を緑や水の拠点として,学園の各種実習や研究を通じてかかわってきた.
向山緑地・立野川源流域
このような学園の学生・教師と,南部地域センターの地域学講座,地元の自然保全のボランティアグループから生まれた「向山緑地・立野川勉強会」は,東久留米市とボランティア協定を結び毎月,観察会と保全活動を行っている.現在,会には近隣の子ども園も参加するなど,地域とのコンセンサスを得ながら進めている.
保全活動の様子
保全活動の様子
このような活動,貴重な水と緑の存在が認められ,(公財)日本生態系協会と(一社)関東地域づくり協会が主催する「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」に選定された(2013年11月16日.http://www.ecosys.or.jp/100select/list/5th/mukouyama_index.html).「百選」は、関東の水と緑とそこにかかわる人のネットワーク上,重要な拠点となることを目指す取り組みを応援するための事業である.地道な活動ではあるが,継続していきたいものである.なお,来る3月30日,学園記念講堂で,市の後援も得て選定記念のシンポジウムを開催することとなっている.
三島次郎先生の講演と選定式後の記念撮影
文:写真:杉原弘恭(学部教師)