菌根菌オンラインセミナーを開催/学生生活・学外活動 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

菌根菌オンラインセミナーを開催/学生生活・学外活動 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

学生生活・学外活動

菌根菌オンラインセミナーを開催

2023年2月1日

1月24日(火)の17時半から、菌根菌オンラインセミナーを開催し、(国研)農研機構農業環境研究部門の大友量氏に「アーバスキュラー菌根菌(AM菌)とその研究手法」と題してお話をしていただき、自主研究「RO農法への挑戦」グループの最高学部生と高等科3年生が参加しました。

以下のお話(概要)を伺いました。

多くの植物はある種の菌類を根に共生させることによって、土壌中の養分や水分を間接的に吸収している。菌類の共生している根は菌根と呼ばれ、共生している菌類は菌根菌と呼ばれる。

菌根菌の中でも、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)は陸上植物の70~80%に及ぶ数多くの植物と共生関係を結んでいる。植物から光合成産物(炭素源・エネルギー源)をAM菌に与える代わりに、AM菌からはリン酸などの養分を宿主に供給する相利共生の関係ができている。

アーバスキュラーの名は根中の菌の形態・樹枝状体(Arbuscle)から来ている。2億5千年前の南極大陸の植物化石や約4億年前のチャートに含まれる植物化石に樹枝状体様の構造が発見されていることから、太古の昔から共生関係があったと考えられている。

植物はAM菌と共生することによって、養水分の吸収促進、有害元素への耐性獲得、病虫害抵抗性付与、土壌構造の改善(団粒構造形成促進)、植生の多様性維持など多くの利益を得ることができる。

再生可能農業とAM菌の関係については、<再生可能農業とAM菌は好相性・再生可能農業の実践で一般的にAM菌は増えると考えられる・AM菌の機能が再生可能農業の成立に重要であろう・AM菌を指標に再生可能農業を評価できるのではないか>といったことを考えている。AM共生の効果は劇的ではないが、植物界において普遍的なものであり、環境保全型農業にとって重要な関係であると考えられる。

お話のあとには、学生からの質問にも丁寧に答えていただいきました。学生たちが今後RO農法を実践していくために大切なお話を伺うことが出来たことに心より感謝を申し上げたい。

 

 

文:鈴木康平(最高学部特任教授・環境文化創造センター次長)

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