昨年度より、「リジェネラティブ・オーガニック農法(RO農法)」について、最高学部学生は自主研究として、また女子部男子部の生徒は探求のテーマとして、部を越えて一緒に活動を行ってきました。
RO農法は、環境再生型農法とも呼ばれることがあります。RO農法に取り組む畑の環境が再生していくことを調べるための指標として、土壌動物の調査は大変有効な1つの手段です。
この度、土壌動物学を研究しておられる橋本みのり先生(大東文化大学教授・女子部70回生)にお願いをして、5月26日(金)17時半より最高学部学生を対象に「土壌動物の観察」のガイダンスをオンラインでしていただきました。
以下のお話し(概要)を伺いました。
1.土壌動物について
土壌動物は植物が生産した有機物の消費者であると共に、その多くは有機物を無機物に分解する初期段階を担っている。畑では目で見えるミミズ、ワラジムシ、ヤスデ類、ムカデ類、目では見にくいヒメミミズ、ダニ類、トビムシ類、センチュウ類などが棲息する。
2.栽培方法と土壌動物
耕す前の土壌は、様々なサイズの粒子で構成されており、粒子間に隙間があって、水分を保持したり、動物の住処になっている。耕すことで、粒子サイズが均一に小さくなり隙間がなくなってしまうことで動物が減少することに、不耕起栽培をする人たちは注目している。
3.土壌動物の採集・分類・保存
定量調査では一定のサイズの枠内の土を採取して、採取した土の中から動物を抽出する。大型動物(約2㎜以上)はハンドソーティング、中~小型動物(約2㎜以下)はツルグレン装置、中~小型動物の湿生動物はベールマン装置をそれぞれ用いて抽出を行う。
4.記録の残し方
サンプルは種類によってエタノール又はホルマリンで保存する。採取した日時と場所・天候・調査方法などを記録する。標本ラベルには採取日・標本名・調査場所とポイント番号・採集者を書き込む。
今後は、今回のガイダンスをもとにして、那須農場や南沢キャンパスの畑で、土壌動物の調査を行いたいと思っている。
文:鈴木康平(最高学部特任教授・環境文化創造センター次長)