能登半島地震 第8回支援報告/学生生活・学外活動 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

能登半島地震 第8回支援報告/学生生活・学外活動 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

学生生活・学外活動

能登半島地震 第8回支援報告

2025年10月21日

最高学部では、全国友の会と共同で能登半島への支援を行っています。
8回目となる今回は2025年8月24日から26日の3日間、石川県・珠洲市にて活動を行いました。
メンバーは、全国友の会(中央部・信越部・金沢・富山・松本友の会)7名、最高学部2年尾辻嶺、1年柿崎亮慈、高等部2年森田玲衣、1年浅見茜、竹内佑貴、ラトール・まる、山本悟、咲花昭嗣先生の計15名です。

活動1日目(8月24日)
新幹線組は金沢駅に集合し、飛行機組は空港に到着後レンタカーにて輪島市内や能登島見学を行い、七尾駅で合流しました。七尾駅までの車窓からはあたり一面青々とした田んぼや、黄金色の稲が広がっていました。
夕方には石川県七尾市にある宿泊先:「ルートイン」到着、夕食を友の会の方々と食べ、顔合わせを行いました。
その後、友の会の方々とともに和倉温泉「のと楽」にて翌日からの予定の確認やミーティングを行い、生徒・学生から能登震災支援に参加するにあたったきっかけなどを話しました。

活動2日目(8月25日)
珠洲市正院小学校にて小学生、約6人と交流を行いました。こちらの小学校は、地域の様々な要因により、現在いる学年は2、3、5年生のみでした。到着後、職員の方々にご挨拶し、小学生と30分ほど宿題を行いました。そのあとは、生徒の意見にあった能登の現状について、丸を囲んで小学生に様々なことを質問しました。お昼ができるまでの時間は、段ボールを使って自分たちのお家をつくってみようというコンセプトのもと、布や、カラーペン、色画用紙などを切ったり貼ったりして楽しく作っていました。

大人顔負けのこの集中力、皆一生懸命取り組んでいました
生徒が主体となり、話し合いをしています

   

お昼は友の会の方に作っていただいたミートスパゲッティとサラダ、冷製豆乳スープを皆でいただきした。小学生の父親がスイカを育てており、それを食後のデザートとしていただきました。食べ終わった後も段ボールでのお家づくりをして楽しんでいました。
特に年齢の垣根を越えて皆で遊べる段ボールでのお家づくりは、各々が友だちと話し合いながらどんなお家にしたいのかたくさん練って考え話しました。この工作をきっかけに小学生と私たちの交流がより深まったように思います。

この布を使って何を作ろうか考えています
皆で協力して、どんなお家にしたいか手と足を動かしています

  

14時半 おやつの時間には、友の会の方々からの差し入れであるクッキーをいただきました。
15時ごろに子どもたちとの交流は終了し、学生、生徒から輪島市や能登島の復興状況について自身の目でみたいと要望があったため海に面した国道を車で走りながら様子を伺いました。途中下車した際には、千枚田があたり一面に広がっておりとても良い景色でした。

夜は友の会の方々と反省会、明日の打ち合わせなどを行いました。

正院小学校は、震災後からはグラウンドを仮設施設として提供されている学校でした。夏休み中にも限らずこころよく私達を受け入れてくださった感謝の気持ちとともに、震災後から2年たっても変わらない現状があることは子供たちにとって苦しい状況だと感じました。

小学校もまだまだ復興できていない状態でした

  
活動最終日(8月26日)
3日目も正院小学校の子どもたちと交流を持ちました。
到着後は子供たちから「ダンボールでお家をつくりたい!」と要望があったため朝から忙しい1日となりました。

子どもたちと学生が親しくなっています

  

10時半ごろからは、ちらし寿司とサラダ、フルーツポンチを3グループに分かれ作りました。最初に友の会の方々から作り方の講習がありそこから始まりました。包丁の持ち方、切り方の補助などをしつつ、皆がそれぞれで力を出していました。

ちらし寿司を一緒に作っている様子
自分たちで作ったご飯の味は格別でした

  

一緒に作ったお昼を皆で食べ、心も身体も温まることが出来ました。
食事後は、子どもたちとのお別れの会を行いました。生徒・学生からは正院小学校に向けてのメッセージカードをそれぞれが書き、子どもたちにお渡ししました。子どもたちからは、正院小学校の素敵なしおりをいただきました。子どもたちからは特に「段ボール工作が楽しかった!」と言ってくれて、私たちもうれしい気持ちになりました。

お別れの会
テーブルを囲み、どんなことを感じたのか語っています

  

私は今回の活動で初めて能登支援活動に参加しました。また、生徒たちは学期中では参加すること自体が難しいですが、夏休みに自分の時間を使って子どもたちと関わること、支援に参加することに大きな意味があるのだと感じました。何よりもまずは、自分の目や肌、その時の景色などを感じることが大切だと振り返って考えました。私たちが痛みを持った人々に何かを与えることは難しいですが、こうして人々と繋がることでその時の記憶や、過去、人々を忘れないと思うのです。
2年経っても変わらない現状に無力感も感じました。ニュースやメディアで取り上げられなくなることで、私たちは被災地の方々の想いを忘れてしまいます。何よりも大事なことは、変わらない日常、生活、暮らしができることだと思うのです。実際に訪れてみて、やはり能登島も過疎化がどんどん進んでいる状況でした。町を歩いてみると本当はここに家があったのだろうなという跡地や花壇、扉などが残されていて、そこにある歴史を感じ、胸が苦しくなりました。
小学生たちと心温まる交流ができ、絆や人とのつながりが人々の源になると感じました。
この経験と想いを軸に、これからも私たちにできる支援を続けていきたいと思います。

文:尾辻嶺、写真:尾辻嶺、咲花昭嗣(最高学部・高等部教員)

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