カリキュラム
ゼミナール - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】
カリキュラム
世界中に想像力を広げ翻って日本を知る
私たちの生きる社会には、さまざまな課題があります。例えば「多様性」。さまざまなマイノリティーを認めよう、寄り添おう、それが多様性を大切にすることだとあなたは思うかもしれません。でも、それはマジョリティー(≒権力)側の非常に傲慢で時として暴力的な見方です。それはなぜか。「認める」という姿勢そのものに、さまざまな差異が実在する中における非対称性や排除が深く埋め込まれているからです。

ゼミ主任 咲花昭嗣
准教授
専門分野:教育学、ジェンダー論、文化社会論
ヒューマンサイエンスでは、自分が前提としている思考を疑って、身につけてきた価値観を傍に置いて、当然と思われている社会通念を問い直すことを学生と教員が共に目指します。よく言われる「批判的思考力」、言い換えると視座を複数化するセンスです。それを展開する土台は人文社会系と呼ばれる学問分野が中心になります。それは、「人間とは何か」という究極的な問いを、人間と社会、人間と文化、人間と思想といった視点から追求するからです。そのために教員も専門科目も、哲学・文学・社会学・国際関係論・ジェンダー論・宗教論など幅広い立場・視点から研究をサポートします。さらには、人間と自然、ロボットと人間などの関心は、自然科学やデータサイエンスなど他のゼミにも繋がっていきます。ゼミ生は、これまで学んだことや体験したことがバラバラのままではなく自分の中で繋がる感覚、それが新しい気づきや知に繋がる楽しさを実感してほしいと思います。

室永優子
准教授
専門分野:日本古典文学
私は大学在学以来、日本古典文学とくに『源氏物語』を研究してきました。世界的に見てもこれほどの傑作がなぜ生まれたのかを追究しようとすると、日本人の人間観や自然観などの文化的特質、この時代特有の歴史的・思想的背景などを知らねばなりません。そもそも「人間」というものは文学・歴史・哲学などに分かれてはおらず、互いがネットワークのように複雑につながって、「人間」というものが存在しています。最初の入り口は自分にとって好きな文学でも、そういうネットワーク全体から人間・自然・社会を見て追究しようというのが、最高学部のリベラ ルアーツ、ひいてはこのヒューマンサイエンスゼミです。

田口玄一郎
准教授・博士(学術)
専門分野:宗教哲学、教育哲学、日本近現代思想
「ヒューマン・サイエンス」は学問分類上ではHumanities(人文学)に相当し、「科学」の枠にすべておさまらないような多様な学びを許容する学問分野を指す。ラテン語の「知る」(scio)に由来するScienceの原義を踏まえるならば、「人文科学」という慣れない訳より「人知」の語感の方が近いかもしれない。本学の「ヒューマン・サイエンス」の独自性は、「人知をはるかに超えたキリストの愛を知るようになり」(エフェソ3:19)という聖書の言葉があるように、「人知」の枠を突破し真の知を希い求め続ける姿勢が「生活」に即して形づくられる点にある。本ゼミで研究する魅力はこの知の探究心に満ちた学生自身の生き方にあるといえるだろう。

U.Hさん
2024年度3年生
オーディションの稽古
ギャップイヤー制度を利用し、役者になるための学びを深めた際に、社会派映画に対して苦手意識を持つ若者が多いという見解を耳にしたことで、義務教育が国民の感性にどのような影響を与えているのか、というテーマに興味を持ちました。エンターテイメントが若年層にとっての社会課題に向き合うきっかけとなるために、社会派映画を中心とした今後の邦画作品がどう在るべきなのかについて、研究を進めていきたいと考えています。
O.Kさん
2024年度4年生
デモクラシーフェスの案内
私の研究テーマは「日本×社会運動」です。デンマーク留学をした際に政治が生活の場にカジュアルに取り入れられていることに感心しました。もともと政治への無関心さなどに対して問題意識があったこともあり、帰国後に日本でもカジュアルな形で政治にかかわることができないか?と考えた結果、社会運動というテーマに至りました。まずは、社会運動自体に対して日本人がどのようなイメージを持っているのかを調査しています。

2023年度卒H.Tさん
桑沢デザイン研究所在学中
デザイン実習に参加
私は最高学部卒業後、桑沢デザイン研究所に進学しプロダクトデザイナーを目指しています。私がデザインやものづくりの分野に関心をもった背景のひとつに学部の学びがあります。 私が所属したヒューマンサイエンスゼミでは皆が別々の分野の研究をしますが、お互いの共通項を見出してそれぞれの研究に意見できる環境がありました。これは、ある物事の中に点を見つけてそれを別の点に繋げる「線」をひくような感覚であり、私にとって大きな学びでした。 卒業研究『柳宗悦・宗理の直観と手工藝思想に関する研究』では、この点と点を線で繋ぐ感覚を強く感じました。この研究では哲学、美学、デザインの分野を横断して「民藝」の現代的意義を考え、モノが生まれて消費される過程について考察したことが現在学んでいる分野にも影響しています。 プロダクトデザインは、社会の課題や問題に対しモノやコトをもって解決し、よりよい方向へ進歩させる分野です。デザインでは幅広い視点から物事の本質を捉えて考える力が重視されます。学部では この力の基幹になる感覚を研ぎ澄ますことができたと思っています。

2022年度卒S.Nさん
山岳観光事業勤務
道標のペンキ塗り直し
卒業研究は、「山に登る人々の山に対する意識の変化」をテーマに行いました。 私は女子部での遠足をきっかけに登山が好きになり、最高学部に進学してからは夏休みに山小屋アルバイトをしました。その経験から山と人間の関わり方の変遷と登山の歴史に興味を持ち、卒業研究のテーマとしました。研究では自分の興味があることや問題だと感じることを掘り下げるだけでなく、ゼミ内の様々な分野の専門の先生方からアドバイスをいただいて、更に広く考えつつ掘り下げるという作業を繰り返し、物事を多角的に見ることの大切さと面白さを知りました。また、ゼミのメンバーと研究を共有することで自分の研究と他の人の研究との接点も見出すことができ、自分の研究に対して更に視野を広げることにも繋がりました。 現在は北アルプスの山小屋で小屋番として働いています。卒業研究で得た知識、登山への考え方や山との向き合い方などを現在の仕事と生活に活かすことができています。そして、自分の興味のある事柄についてとことん追求するという経験になった卒業研究は、私にとって大切な財産です。

2020年度卒M.Sさん
劇場勤務
勤務している劇場
ヒューマンサイエンスゼミに入ったきっかけは、女子部在学時に見た最高学部のゼミの卒業研究発表会だったと記憶しています。毎回面白い発表をしているゼミという印象があり、せっかく勉強するなら、自分が面白いと思うことをしたいと思い学部に進学しました。 想像通り、ゼミで担当してくださった先生方は個性豊かな方ばかりで、もともと心理学や宗教、人が他人にもたらす影響について考えることが好きだった私は、卒業論文で、SNSと欲求の関係について取り上げました。コロナ禍での執筆は大変でしたが、自分が深めたいと思う事を探求できた時間は自分の財産となっています。 卒業後は、人と関わる仕事をしたいと思い、接客業を選びました。私が働いている劇団四季の劇場は、毎日1100人以上のお客様を迎えてい
2016年度卒T.Rさん
専門研究員・博士(社会学)
出版した著作物
私はいま大学で講義をしながら、戦争と社会の関係、とくに戦後日本社会における戦争の記憶について歴史的、社会学的に研究しています。 最高学部のゼミでは、木村秀雄先生のもとで、テロリズムから現代の戦争を考えるという研究をしていました。現在行っている研究とは、研究内容もアプローチも違うので、遠回りをしたと感じることもありますが、先生方に助言を貰いながら、自分が気になった事象、社会問題を徹底的に掘り下げるという経験は、研究という営みの虜になる第一歩だったように思います。 卒論執筆の過程では、頻繁に開催される中間発表会で、学部生に対して、自分の研究の発表を行なったことをよく覚えています。自分と分野も関心も異なる同級生や学部生にどのように説明を行うのか、関心を持ってもらうのか、あるいは、自分と異なる分野の研究をしている同級生の報告をどのように聞き、受け止めるのかに心がけました。 現在、研究や日々の営みを行う中でも、自分の研究にもともと関心がない人に自分の研究をアピールする力、また自分の専門分野ではない研究にもリアクションする力は、非常に重要な力だと思います。