明日館で行なわれた「婦人之友」創刊120周年、羽仁もと子生誕150年記念 金子三勇士スペシャルピアノコンサート。繊細さと共にものすごい迫力、素晴らしい内容でした。
金子三勇士さんの演奏を初めて聴きましたが、選曲、解説、演奏を通じて、「平和」への願いという金子さんの強いメッセージが伝わってきました。クラッシックの演奏を通じて、作曲者たちの思いに重ねて、今を生きる演奏者自身の、今この時代への思いがこれほどまでに溢れるように伝わってきたのは初めての経験でした。
プログラムにはテーマは「原点」と「挑戦」とありましたが、まさに演奏の姿勢そのものから「自由な精神」が感じられました。そして曲ごとの解説から、その自由が、作曲家たちへの金子さんの深い愛と理解、リスペクトによって支えられていることがひしひし伝わり、その理解と安心感の中で演奏を聴くことができました。
特にリストがピアノ版に編曲したものを金子さんが明日館バージョンにアレンジしたという一期一会のベートーヴェンの「第九」第四楽章は圧巻。スタインウェイの大きなピアノは、壮大なスケールの合唱付き交響曲をこの一台で表現するためであることがわかりました。ピアノが打楽器であることも再確認しました。「命をかけて弾かせていただきます」という解説の言葉にふさわしい熱演でした。
金子さんが羽仁夫妻や明日館へのリスペクトを語ってくださったこともうれしいことでした。今この激動の時代をいかに生きるか。金子さんの「原点」と「挑戦」に勇気をいただくひとときでした。
素晴らしい演奏をしてくださった金子さん、コンサートを企画してくださった婦人之友社の皆さん、ありがとうございました。
高橋和也Facebook 2023年12月12日