今週の1冊『また会う日まで』/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

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図書館 お知らせ・近況

今週の1冊『また会う日まで』

2024年2月12日

2024年2月12日
『また会う日まで』池澤夏樹 著 朝日新聞出版
作者である池澤夏樹の大伯父(祖母の兄)・秋吉利雄の生涯を描いた大作です。利雄は聖公会の信者、つまりクリスチャンでした。そして海軍の軍人として「水路部」に勤めており、一方で、天文学の学者でもありました。いくつかの顔を持った利雄でしたが、この本で貫かれているのはキリスト者としての信仰です。1892年に生まれ、第二次世界大戦を経験しています。小説ではありますが、史実に基づいて書かれているので、歴史上の人物も登場します。聖路加国際病院の日野原重明、医師であり作家でもあった加藤周一、そして羽仁説子(自由学園創立者羽仁夫妻の長女)。特に日野原は利雄と何度も会い、言葉を交わしています。互いにクリスチャンであった2人にしか話せない内容が戦時中にはありました。東京大空襲の後、築地にあった水路部の本部の様子を見に行った利雄が、同じ地域にある聖路加国際病院を訪ねた時の、日野原の医者である自分の行動と、クリスチャンとしての行動の乖離に苦悩する様子は心を打ちました。タイトルの「また会う日まで」は、讃美歌の一節です。日本における、明治、大正、昭和期のキリスト教信者について、その心情や行動、葛藤を、主人公を通して丁寧に描いた作品です。

 

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