今週の1冊『ゆびさきに魔法』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2025年2月3日
2025年2月3日「ゆびさきに魔法」 三浦しをん 文藝春秋これまで、幾多のお仕事小説を書いてきた著者ですが、新作では「ネイリスト」が主人公です。三浦さんの作品はどちらかというと、男性コンビの描き方が抱腹絶倒の面白さなので(たとえば多田便利軒シリーズ)、女性が主人公の本作はどんな感じだろうと思って読み始めましたが、一気に読了してしまいました。 東京のとある私鉄駅近くにある商店街の一角で、ネイルサロンを営むのは月島美佐。ある日、隣の居酒屋「あと一杯」の店主が、客である若い女性に連れられてサロンにやってきます。そこで嫌がる店主を説き伏せて、ある手当をしたことをきっかけに、その若い女性が月島のもとで働くことに。この大沢星絵という女性は、元気いっぱい、人ともすぐ打ち解けるので、月島のお店を期せずしてどんどん良い方向へ導いていきます。子育て中のやつれ気味の女性、老人ホームで暮らす人たち、芸能人、女性も男性も、自分の爪が美しくなることで活力を得、幸せになっていく様子は圧巻です。物語の終盤、大沢は、月島の提案で、彼女と昔一緒に店を経営していた月島の友人の元へ修行にいきます。大沢の持ち味も、友人の実力も理解した上での月島の決断でしたが、3か月の修行の後、自分のお店に大沢がまた戻ってきてくれるのかどうかはわかりません。最後まで手に汗握る展開はさすがです。月島と大沢の師弟関係というか、一緒に働く仲間関係は本当に素敵で、なんとなく「明日から頑張ろう」と思わせてくれます。性別関係なく、いろんな方に読んでいただきたい一冊です。
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