今週の1冊『日本の指揮者とオーケストラ』/図書館 お知らせ・近況 - 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上【一貫教育の自由学園】
図書館 お知らせ・近況
2025年2月12日
2025年2月10日『日本の指揮者とオーケストラ』 本間ひろむ著 光文社新書明治以降、日本にクラシック音楽が伝わってから現在までのことを、指揮者とオーケストラを中心にコンパクトにまとめて書かれた本。東京では山田耕作、近衛秀麿、関西では貴志康一等が立ち上げたオーケストラを、政変渦中のロシアやドイツから逃れてきた音楽家たちが指導し、教えを受けた日本の音楽家たちがこれを守って、戦後全国にオーケストラができて現在に至るまでの話。海外に留学した音楽家たちの足跡。特に、あまり知られていない戦前の世界情勢や、関西のオーケストラの成り立ちなどが時系列にわかりやすく書かれている。昨年亡くなられた小澤征爾や、現在活躍中の佐渡裕などの指揮者について、また各地のオーケストラについてのエピソードもそれぞれ面白い。近衛秀麿、齋藤秀雄、は草創期の自由学園で生徒に音楽を教えて下さり、学園出身の山本直純は齋藤門下生になって、後に母校のオーケストラの指導をしてくださった。学園にご縁の深い方々である。近衛秀麿が4歳年下の齋藤秀雄のヨーロッパ音楽界への道を開き、齋藤秀雄が小澤征爾を育た。そして小澤征爾が日本のクラシック界の地図を描いたのだ、と結んでいる。各地のオーケストラをその時代々々の多くの音楽家の夢が育てたといえる。それがこれからも世界中の音楽家や日本の音楽愛好家を育ていくのだろう。それらの夢が永く永く受け継がれていってほしいと願う。巻末付録の「日本の指揮者とオーケストラ・ディスコグラフィ30」もなかなか興味深いラインナップ。ベスト30、名盤30ではなく、いろいろなホールで、いろいろな指揮者とオーケストラが演奏した名曲の数々。こちらもおすすめです。
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