海山植林地で水文・気象観測室の学生が活動しました/研究・実習 - 自由学園 最高学部(大学部)/ 最先端の大学教育

海山植林地で水文・気象観測室の学生が活動しました/研究・実習 - 最先端の大学教育【自由学園 最高学部(大学部)】

研究・実習

海山植林地で水文・気象観測室の学生が活動しました

2022年9月4日

自由学園ではこれまで高等科・最高学部(大学部)の男子生徒・学生よって、名栗(埼玉県飯能市)、海山(三重県紀北町)、黒羽(栃木県大田原市)の3か所で植林・育林活動が行われて来ましたが、各植林地固有の事情及び2020年度からの新型コロナウイルス感染拡大の影響により生徒・学生の活動は休止状態にあります。一方、環境文化創造センターではこれまで長い時間と資金等を投じ多くの生徒・学生が関わり整えられたこれらのフィールドを、教育・研究にさらなる活用を行うきっかけ作りを活動目標の1つに掲げています。その一環として、フィールドへの理解と今後の活動につながる気づきを得るために、今年度4月に最高学部1年の男女学生が名栗に訪れる機会を設けました。この企画は今後も継続・発展していきます。また、名栗に続き、海山にも水文・気象観測機器を設置し観測体制の整備を進めてきました。

去る8月6日、水文・気象観測室の1〜2年生3名が参加し、海山植林地にて気象観測機器のメンテナンスおよびデータ回収、植林・育林の際の拠点となっていた「海山小屋(1967年に教員、学部生、卒業生の手によって設置)」の清掃、小屋前を流れる久瀬谷の沢での水質測定と流量観測、水中に生息する生物の観察を行いました。沢では、魚類(コイ科ヒメハヤ属のタカハヤに外部形態が似る)、両生類の幼生、甲殻類(カニの仲間)を捕獲し、記録しました。

 

海山小屋前に設置した雨量計の保守

 

電磁流速計で堰堤からの流出量を測定

 

小屋前の渓流に棲むタカハヤ

 

サワガニは最も「きれいな水(水質階級Ⅰ)」であることを示す指標生物

 

以下は、今回初めて海山で活動した3人の学生の感想です。

 

今回私は初めて海山の小屋を訪れ、小屋の周りの草刈りと小屋の清掃、沢の生物観察を行った。現在、海山では学生の活動を行なっていない為、小屋は使われておらず内部は少し荒れていたが、手入れを行えば十分に寝泊まりできそうであった。自然豊かな学びの場が那須、名栗だけでなくもっと沢山あっても良いのではないかと思っていたので、海山は積極的に活用していくべき場所であると感じた。また、海山という土地柄は学園のある関東とは違った特性もあると思うので、そういった違いを感じるという事にも繋がるのではないか。なにより、海山を活用する事で自然に触れる事の喜びを感じてくれる学生・生徒が増える事を願う。(1年:丸原歩)

海山植林地を訪れてみて、「もっと学生が来られたらいいのにな」と思いました。自然が豊かな広い植林地で、立派な小屋もあるのに最近はほとんど学生が訪れていないことがもったいないなと感じました。また植林地での活動は、小屋周りや植林地内の道の整備や小屋の修理などの比較的安全な作業でも様々な経験ができて楽しいと思います。今回は植林地内には入らなかったので、次の機会にはぜひ植林地内を見て周りたいと思っています。(1年:山田周太郎)

私自身、海山については学園新聞で新しく協定を締結したという程度のことしか知らず、今までどういった場所なのか分からなかったため、今回いけてよかったと思っています。海山に行ってみての感想は、山がかなりの急斜面だったことに尽きます。埼玉県にある名栗植林地も急な斜面ではありますが、それよりも切り立っているように感じました。この切り立った山に今までの卒業生たちが、植林したと思うとよくぞ植えたと感心しました。(2年:宮代雅章)

 

海山植林地での活動の前後には、紀北町役場をはじめ、三重県尾鷲農林水産事務所、森林組合おわせなど、地域でお世話になっている方々を訪問しました。また植林地を取り巻く紀北町、尾鷲市内の赤羽川、船津川、銚子川水系などで水質調査を行い、周辺の地形、自然の様子の観察を行うと共に、三重県立熊野古道センター、みえ尾鷲海洋深層水アクアステーションの見学も行いました。

また、環境文化創造センターが発行を準備している「自由学園キャンパスカード」の海山植林地バージョンを初めて配布しました。背面にはフィールドの概要を記しており、キャンパスのミニ版パンフレットと位置付けられます。

 

海山植林地訪問の証、キャンパスカードをゲット!

 

植林地下流の船津川での水質調査

 

 

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文:小田 幸子(環境文化創造センター次長・最高学部教員)・写真:吉川 慎平(環境文化創造センター長・最高学部教員)

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