快晴の5月22日(日)、最高学部の講義「日本の里山・里川・里海と地域デザイン」の見学として、三浦半島の「小網代(こあじろ)の森」に出掛けました。本講義についてはこちら
小網代の森は、三浦半島の南端(神奈川県三浦市)に位置し、相模湾に面する広さ70haの森です。谷に沿って流れる小川を中心とした一つの流域です。森林、湿地、干潟及び海までのエコトーンが連続して残されており、神奈川県が小網代近郊緑地特別保全地区に指定しています。
本講義では、里山をはじめ具体的に地域をとらえる原単位として、既存の行政区域ではなく、自然地形に由来する「流域」という概念に注目していくこととし、課題図書として岸由二氏の『「流域地図」の作り方―川から地球を考える』を全員が読みレポートしました。今回の見学の目的は、岸氏が保全に関わり、先の文献でも紹介されている、理想的なモデル流域としての「小網代の森」に実際に足を運び、全身で「流域」を体感すること、里山・里川・里海の連続性を確認することです。
当日は京急久里浜線の三崎口駅に集合し、路線バスで現地へ移動しました。高台から小網代の森を俯瞰した後、森に入りました。地形や植生、水辺の様子などを観察しながら、時間をかけて上流から下流へと歩きました。最下流でお弁当をいただき、NPO法人小網代野外活動調整会議の方から、干潟の様子などについてご説明いただきました。最後は小網代湾の様子を見ながら油壺方面に抜け、路線バスで再び三崎口駅に戻り解散しました。
参加した学生から「普段は別々で見る川上、川下、中流域全てを一緒に見ることができ、流域での環境変化の様子がとても興味深かった」、「河川について見学をしたことがなかったので全て楽しめた.流域に沿って生態系が展開しており,ここまで違いが生じることに驚かされた」といった感想が聞かれました。
次回は南沢キャンパスを取り巻く「新しい武蔵野」をテーマとした見学を予定しています。引き続き、フィールドと教室の往復を通して、抽象的な概念を具体的なイメージへと変換して行きます。
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「日本の里山・里川・里海と地域デザイン」開講
小網代の森について(神奈川県ホームページ)
文・写真:吉川 慎平(最高学部教員・環境文化創造センター長)