自由学園創立者羽仁もと子先生は1873年9月8日にお生まれになりました。今年は生誕150年にあたります。自由学園では、この日、恵泉女学園学園長廣瀬薫先生をお迎えし記念礼拝を行いました。
廣瀬先生は羽仁もと子先生の著作集を信仰的な視点から読み解き、これまで明日館での公開講座での講義をなされ、またその読解が『良く生きる手がかり』のシリーズ7冊として刊行されています。
当日は「羽仁もと子の普遍性を考える」というテーマでお話しくださいました。礼拝に引き続き、羽仁もと子先生が1932年に世界を旅行し、ニースの世界教育者会議で講演を行った際の映像も上映しました。自由学園公式YouTubeで録画映像を公開いたしました。ぜひご覧ください。
https://youtu.be/QxRyoDf0csE?feature=shared
聖書はローマの信徒への手紙8章14~17節。
「14神の霊によって導かれる者は皆、神の子なのです。 15あなたがたは、人を奴隷として再び恐れに陥れる霊ではなく、神の子とする霊を受けたのです。この霊によってわたしたちは、「アッバ、父よ」と呼ぶのです。 16この霊こそは、わたしたちが神の子供であることを、わたしたちの霊と一緒になって証ししてくださいます。 17もし子供であれば、相続人でもあります。神の相続人、しかもキリストと共同の相続人です。キリストと共に苦しむなら、共にその栄光をも受けるからです。」
廣瀬先生は、羽仁もと子先生の思想と実践が持つ3つの普遍的な側面についてお話しくださいました。世界はどこに向かうのか、人間とは何か、そしていかに生きるかという側面です。これは我々すべての人間にとっての普遍的な課題です。
今この時代は悪の力が強烈に働き、世界が破壊され、人々が理想を捨てている時代であること。だからこそ世界全体を視野に入れて、神の国を地上に造るという理想が重要であること。善をも悪をもなしうる自由を与えられた人間が、平和を実現する理想へと進むことができるようにと、地上にキリストが来られ、もと子先生は、そのキリストを信じる信仰をもって希望の生涯を歩まれたこと。そして友の会、自由学園、婦人之友を通じて、平和の実現、神の国の実現という普遍的課題に取り組まれたことを、力強くお話しくださいました。そしてもと子先生の歩みに倣い、私たちも理想を掲げ進みましょうと励ましてくださいました。
信仰によって事業を起こし、生涯を生きたもと子先生の思想と実践を通じ、今私たちも向き合うべき普遍的な課題を明らかにしてくださるお話しは、本当に心に迫るものでした。
日々の教育に当たるときにも、社会への働きかけをするときにも、それが人間中心の思いからではなく、与えられた命を生かし、神の国の実現に参加するという目的に向かうものでありたいとあらためて思うときとなりました。
夏の終わりに教職員の全校修養会を行い、もと子先生のご生涯を学ぶ時間をもちました。私はそこで先生方にもと子先生の「自由学園の創立」(『半生を語る』)という文章の中から、次の言葉を紹介しました。学園長就任以来、学園長宅の仕事机の前に自戒の思いを持って貼っている創立者の言葉の一つです。
「自由学園は一私人の機関ではない。神の国の公器である。神至上主義の生きた団体が、殊に現在の教育の世界に必要であり、それがまた永遠の本当の教育のたましいでなくてはならないために、自由学園は生まれることを許され、存在することを許され、また永く生きなくてはならないのである。」
廣瀬先生のお話は自由学園の土台を示すこの言葉の意味を読み解くような内容でした。
お忙しい中、もと子先生の記念日にふさわしい心に残るメッセージ・力強い霊的な励ましをいただきましたこと、廣瀬先生に心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。
高橋和也Facebook 2023年9月16日