今週の1冊『市川房枝、そこから続く「長い列」』/図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】/ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

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今週の1冊『市川房枝、そこから続く「長い列」』

2023年9月25日

2023年9月25
『市川房枝、そこから続く「長い列」』 野村浩子著 亜紀書房 市川房枝は、歴史の教科書では平塚らいてうと共に女性の参政権運動をした人、という紹介がされていたかと思います。この本は、膨大な資料やインタビューをもとに市川の人生をたどりながら、そこに続く現在の社会状況も俯瞰しています。1893年、愛知県の農家に生まれた市川は学校を出た後、小学校教員や新聞記者をし、その後は生涯かけて婦選運動(女性の参政権を認めさせる運動)にまい進します。40~50代という、経験を生かして働ける黄金期に戦争に巻き込まれ、戦後は公職追放に遭い、それが解けた後に参議院議員になりました。途中落選を経験しながらも、87歳で出馬した参院選では全国区1位当選、亡くなるまで議員を務めます。「私は憤慨しとるんですよ」という市川の言葉は、性別や国籍などで理不尽な扱いをする人を許さない、人権活動家の怒りをよくあらわしています。一方、彼女は非常に緻密なデータ分析ができ、事務のプロフェッショナルでもあったそう。ちょっと意外ですね。人権というキーワードは今の日本でも常に叫ばれています。市川が目指した社会にはまだなっていない、しかしそれを実現しようとする人の「長い列」に連なる私たちを励ましてくれるような一冊です。

 

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