今週の１冊『日本史を暴く』／図書館 お知らせ・近況 - 一貫教育の【自由学園】／ 幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上

2023年11月6日
『日本史を暴く』 磯田道史 著　中公新書　
この本の新聞広告をよく目にします。なぜそんなに売れているのだろう（本は売れれば売れる程広告が出ます）、と思って読んでみました。納得の面白さでした。もともと、読売新聞での連載をまとめているので、各章が短くて読みやすい。そして、内容はすべて「歴史の裏」を暴くもので、「え？そうなの？！」と思ってしまうトピックばかりです。江戸時代にホタルは売られていてもカブトムシは嫌われていた、とか、ある時代の天皇の死について、ある史料から天皇の食べたものと排泄の記録を読み解き、それが毒殺説で正しいのかどうかを探ったりしています。これらの情報はすべて、著者が骨董市や古本屋や民家の蔵などで発掘した史料を読み解いて到達したものです。古文書発見にもさまざまなドラマがあり、歴史家の日常が垣間見られるのも魅力です。
私は以前、磯田さんが忍者の史料を追いかけていることを、ご本人の講演で聞いたのですが、その面白さを、目をキラキラさせながら（本当です）話される姿を見て、この人は本当に歴史が好きなのだなと思いました。もちろん、忍者史料も本書に登場します。すぐに役に立たなくても、本当に自分が面白いと思ったことをとことん追求する。そんな著者の生き方そのものの魅力も味わえる一冊です。

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